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cocolog:95005765

田村芳彦『大陸の誕生 - 地球進化の謎を解くマグマ研究最前線』を読んだ。火星や金星にないプレートテクトニクスがなぜ地球にのみあるかについて、海がその大きな要因であること、また、大陸地殻の誕生にも謎があることを学んだ。そして「反大陸」について妄想した。 (JRF 9449)

JRF 2024年8月17日 (土)

『大陸の誕生 - 地球進化の謎を解くマグマ研究最前線』(田村 芳彦 著, 講談社ブルーバックス B2259, 2024年4月)
https://www.amazon.co.jp/dp/4065352495
https://7net.omni7.jp/detail/1107492143

JRF2024/8/174263

直近で、横山祐典『地球46億年 気候大変動 - 炭素循環で読み解く、地球気候の過去・現在・未来』を読んだ([cocolog:94997784](2024年8月)ものの続き。

そちらで、プレートテクトニクスが最初になぜ生じたかという疑問を生じたときに、Amazon のオススメでこれが上がってきたので買って読んでみた。

JRF2024/8/170609

……。

基本的に私は大陸移動説について疑問がある。それに絡んで横山祐典『地球46億年 気候大変動』を読んだあと、次のようなメモを Twitter (X) などに書いた。

>>
○ 2024-08-13T21:39:58Z

白亜紀の高い気温は「アトランティス大陸」が沈んだからではないか?

#ムー

私は大陸移動説に疑問がある。大陸が移動することに疑問はない。しかし、唯一の超大陸であるパンゲア大陸があったというのが信じられない。回転する天体で、元が一つの大陸だったというのが不安定に思え信じられないからだ。

JRF2024/8/176411

しかし、パンゲア大陸が仮にあったとすると、地球には負荷がかかっていたはずである。もしかすると、パンゲア大陸とバランスを取るために、もう一方に一つの大陸すなわち「アトランティス大陸」が浮上していた可能性がある。

JRF2024/8/173177

白亜紀に高い気温が実現していた謎について、横山祐典『地球46億年 気候大変動』は炭酸塩の「炎上」があって CO2 濃度が増えたことを解とするが、白亜紀はちょうどパンゲア大陸解消後の世界で、パンゲア大陸解消にともないそれだけでバランスが取れるようになったことから、浮上していただけの「アトランティス大陸」が徐々に沈んでいき、その「炎上」が炭酸塩の「炎上」となったと考えることができるのではないか!!

ΩΩΩ<な、なんだってー!?

JRF2024/8/176531

……。

Gemini さんと話してブラッシュアップ。

唯一のパンゲア大陸自体がその偏りにより自転に大きな影響を及ぼし応力を発生していたはず。パンゲア大陸の成立が近づくと形成されつつあるパンゲア大陸全体が少し沈み、その代わりにアトランティス大陸的な部分(パンゲア大陸よりは圧倒的に小さい)が浮上したと考える。アトランティス大陸の沈没は、水中への沈下のあとプレートテクトニクスにより海底火山嶺に飲み込まれる形で起こり、それがアトランティス大陸で成長した植物などを元にする炭酸塩の「炎上」をもたらしたと考える。

JRF2024/8/173457

……。

「アトランティス大陸」というより「アンティパンゲア大陸」といったほうがこの場合いいのかもしれない。

JRF2024/8/177133

……。

○ 2024-08-14T02:57:55Z

『宗教学雑考集』《大陸移動説》に次のように追記した。

英語版の《Pangea - Wikipedia》によれば、離合集散を繰り返しながら唯一の超大陸が何度も成立していたという説をとる。パンゲア大陸はその最後のものに当たり、植生の化石などから正当化できるとしている。そういうことならパンゲア大陸もありうると、私も思うが、ウェゲナーの最初の大陸移動説の直感を受け継いでいることから私にはまだ疑いは残る。

JRF2024/8/175378

特に、何度か成立した唯一の超大陸の間でも海の大きさに比したときにパンゲア大陸は偏りが大きく、もし、それが成立していたのが本当なら、地球のバランスを取るために逆にアトランティス大陸のような「アンティパンゲア大陸」が一方で存在してそれが沈没したのが白亜紀の二酸化炭素濃度および気温上昇の原因ではないかとすら妄想する。
<<

JRF2024/8/178437

ちなみに、『宗教学雑考集』とは私が書いた電子書籍(↓)で、現在、正式版(第1.0版)に向けてそのブラッシュアップの最中。

『宗教学雑考集 - 易理・始源論・神義論 第0.8版』(JRF 著, JRF電版, 2024年1月)
https://j-rockford.booth.pm/items/5358889

JRF2024/8/179438

……。

それではいつものように「引用」しながらコメントしていく。

JRF2024/8/179110

……。

>地殻は構成する岩石の種類によって、大陸地殻と海洋地殻に二分されます(図1.3)。<(p.34)

海洋地殻はおもに玄武岩からなり、大陸地殻はおもに安山岩からなる。安山岩は玄武岩よりシリカ(SiO4)含有率が少し多い。玄武岩に比べ、大陸地殻は軽く分厚い。

図1.2 (p.33) の高度面積曲線(ヒプソメトリック・カーブ)を見ると、海抜0mのところと、水深5000mのところに、二つの山ができ、単になだらかに変化するだけでなく、海洋地殻が別にあることを特徴づけるような変化の仕方になる。

JRF2024/8/173601

そしてアイソスタシーがだいたい成り立っているとする。

《アイソスタシー - Wikipedia》
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%82%BD%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%82%B7%E3%83%BC
>アイソスタシー(英: isostasy)とは、比較的軽い地殻が、重く流動性のある上部マントルに浮かんでおり、地殻の荷重と地殻に働く浮力がつり合っているとする説、または、そのつり合い。地殻均衡(説)ともいう。 <

JRF2024/8/175179

……。

>水がはいり込んだマントルはマグマを発生しやすいということ -- これを加水融解といいます。<(p.75)

岩石の溶け出す温度をソリダスといい、完全に液体になる温度をリキダスという。ソリダスを下げる方法に二つあり、一つは圧力を下げること、もう一つが加水融解ということのようだ。

地球は、中心にコアがあり、その外側にマントルがあり、その外側に薄く地殻があるとする。コアは外核は鉄の液体で、内核は圧力が強いため鉄の固体となる。マントルは、かんらん岩である。

JRF2024/8/170832

……。

>プレート運動が継続するには、冷えて重くなったプレートの沈み込みが起こる必要があります。そして、プレートが沈み込むためには、収束境界におけるプレートどうしの摩擦を弱める必要があります。沈み込もうとするプレートの上面と上盤側のプレートの下側との間の摩擦が強すぎると、下のプレートは動けなくなってしまうのです。地球では、プレート境界にスメクタイトという粘土鉱物が形成され、これがプレート間の摩擦を緩和しています。そして、粘土鉱物の形成には海が必要です。

JRF2024/8/179582

結局、海のない金星・火星では、たとえ表面に割れ目が生じてリソスフェアがプレート状に分裂したとしても、プレートが別のプレートの下に沈み込むことができません。
<(p.112-113)

横山祐典『地球46億年 気候大変動』を読んだ([cocolog:94997784](2024年8月)とき、プレートテクトニクスがなぜ地球にだけあるかで水の問題だろうと読み取ったが、実際そうであるという記述がここで得られた。

JRF2024/8/176354

……。

>水をふくんだマントルが高い圧力で部分融解すると、シリカの少ない玄武岩マグマが生成します。一方で、低い圧力(1G Pa以下)で部分融解すると、シリカに富む安山岩マグマが生成します。

玄武岩マグマと安山岩マグマのどちらが生成するかを判ける境界の圧力は 1G Pa ですが、これは地球内部の深さに換算すれば 30km に相当します。つまり、マントルの部分融解で生じるマグマは 30km 以深では玄武岩マグマ、30km 以浅では安山岩マグマなのです。<(p.130)

JRF2024/8/173347

大陸地殻の安山岩マグマがどうやって生じるかが問題なのだが、地殻の分厚い海ではなく、薄い海洋で生じている…ということのようだ。ただ、安山岩が沈んだあとマントルからの熱で「解凍」されて、再び地殻に現れるようなことも起きているらしい。

解凍されたわけでない生の安山岩マグマで、しかも、時間がたって玄武岩マグマが安山岩マグマになったものでないような、初生の安山岩マグマがあるかが問題だったらしい。著者は、初生マグマただし玄武岩マグマをパガン島(マリアナ諸島(マリアナ海溝))の海底火山で見つけ、それに近い安山岩を西之島の2013年からの噴火で手に入れたようだ。

JRF2024/8/177844

……。

>大陸地殻の材料となる生の初生安山岩マグマは、圧力の低い、つまり地殻の薄い領域のマントルが溶けることで生じます。地殻の薄い場所は、アイソスタシーにより必然的に海の下です。生の初生安山岩マグマを“大陸の卵”と呼ぶならば、「大陸の卵は海で生まれる」ことになります。これは本書でとくに伝えたい私の考えです。絶海の孤島である西之島で、なぜ安山岩マグマが噴出するのかという疑問は、「大陸のでき方」に直結していたのです。西之島の調査結果は、理論的な安山岩生成の説明だけでは納得できない人たちにも、衝撃を与えました。<(p.185-186)

JRF2024/8/172258

西之島は、太平洋に現れたアンティ・パンゲア的な要素なのだろうか。ただ、それなら北半球ではなく南半球に現れそうなものだが、そういう話はどうもない。

アンティ・パンゲア的なものは陸として現れないということだろうか?

JRF2024/8/178901

……。

パンゲア大陸とアンティ・パンゲア大陸をもう一度考える。

アンティ・パンゲア大陸のようなものが、大陸として一時的に浮上して消える力は考えにくい。コアが何億年かけて移動したり、例えば、月の動きによってそういうことが起こったというのもありえないわけではないようにも思うが、現在そういうのが観測されない理由が今度は必要なり、それはどうもなさそうなのである。

JRF2024/8/172679

何度も超大陸が生じていたこと、大陸地殻は海洋地殻より軽いこと、軽いものが一ヶ所に集まるとすれば、それは別の何かが一方で生じていることが多いことを考えると、大陸では必ずしもない「反大陸」的なものがありうるのかな…と思う。案外、大西洋中央海嶺みたいなのがその正体なのかな…と直感する。

↓の海洋底の生成された年代の図を見ると、年代の新しい赤い部分は太平洋の南半球に大きく、ちょうど反大陸的になっている。

JRF2024/8/171968

《海洋底拡大説 - Wikipedia》
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%B7%E6%B4%8B%E5%BA%95%E6%8B%A1%E5%A4%A7%E8%AA%AC

海洋底拡大説が否定されていることを考えると、海嶺ではなくホットスポットが問題なのかもしれないが、まずそういう何かの広がりが生じて、その反作用で超大陸という一ヶ所に大陸地殻が追いやられるのだろう。

JRF2024/8/175114

その後は、一ヶ所に追いやられたストレスが大きくなると、元のホットスポットか何かが閉じ、「やわらかい」大陸地殻の一部に逆にホットスポット的なものが生じ、そこから割れていく、その過程で先に広がっっていた海底が食われる形で、新しい大陸地殻が形成されるみたいな感じなのかな。…と思う。

JRF2024/8/173138

……。

Gemini さんに金星はプレートテクトニクスがない代わりに膨脹と収縮によるリソスフェアテクトニクスがあるかもしれない…とのことだった。超大陸・反大陸のメカニズムはひょっとするとリソスフェアテクトニクスに近いのかもしれない…と思った。

JRF2024/8/175072

……。

図5.2 (p.243) にも読み取れるうように、どうも超大陸が成立している期間は合わせるとかなり長いというのも興味深く、反大陸はかなり生じやすいということなのかもしれない。

Gemini さんによると「スラブプル」にも注目すべきということのようだが、それをこの議論にどうつなげればよいかは私にはわからなかった。

JRF2024/8/173470

……。

「新しい大陸地殻が形成される」…と書いたが、ただ、大陸が一方的に増大してきたわけではないように思う。この本では、どうも大陸地殻の岩石は軽いため、マントルの下に沈んでもいずれ浮かんでくる、だから大陸地殻は減らない的なことを想定しているように感じる。しかし、そうであれば、現在ではすべてが大陸地殻になっていそうなものだが、そうなっていない。そうなってないというのは、大陸地殻を広範に破壊するような動きもあるとはずだが、それは何なのか?…それは、この本にヒントはなかった(ように思う)。

JRF2024/8/172957

……。

ところで、反大陸的なものが、アンティ・パンゲア大陸の妄想のように本当に姿を現わす(そして沈んだ)ことはありえないのかは別の問題にできると思う。大胆な仮説だが、超大陸が成立していない今、反大陸的なものが完全に姿を消している可能性があるともできるからだ。他の惑星で似た物があればわかるのかもしれないが、他の惑星にはプレートテクトニクスがないので、究極的にはわからない…とできるように思う。

JRF2024/8/170722

……。

>序章で書いた大陸にまつわる第4の謎「地球ではいま、大陸の材料はつくられているか?」の答えは、ここで出します。もちろん、「大陸の材料」とは安山岩のことです。そして、答えは「イエス」。沈み込み帯では現在でも、生の初生安山岩マグマが生じ、大陸地殻の材料がつくられていまず。私たちが目撃している西之島やケルマディックおよびトンガの噴火は、大陸の卵の誕生にほかなりません。<(p.194)

JRF2024/8/174683

……。

伊豆孤のスミスカルデラとマリアナ孤のウエスト・ロタカルデラ…、

>これだけ大きなカルデラをつくる海底巨大噴火はまれな現象で、人類はまだ経験していない可能性があります。<(p.196)

いきなり「大陸が沈む」はないが、ある程度の大きさの地形が噴火してなくなることはあるようだ。

西之島付近がそのような海底巨大噴火を起こす可能性を著者は指摘する。

JRF2024/8/179958

……。

>日本海拡大時、この海の周辺では正断層が形成されました。現在の日本列島周辺のプレート配置・運動のために、これらの正断層は圧縮する力を受けて、逆断層に転換しています。<(p.228)

正断層としての反大陸が大陸のように浮上したことがあったとすれば、そのあと、逆断層化してそのまま沈むことがありうる。…となるのかもしれない。

JRF2024/8/173221

……。

ヒマラヤ山脈について…、

>インドプレートはたしかにユーラシアプレートの下に沈み込んでいます。これは、3.1節で述べたこと -- プレートの沈み込みには海が必要 -- に反するようですが、そうではありません。沈み込みがはじまったタイミングでは、この2つのプレートの境界は海(テチス海)の下にあったのです。海がないと沈み込みがはじまりませんが、一度はじまった沈み込みは、海がなくなっても続くということです。<(p.232)

JRF2024/8/178234

Gemini さんは、金星や火星にもかつてプレートテクトニクスがあった可能性がある説をもって、海をプレオートテクトニクスの主要な要素とすることにはあまり賛成でないようす。

JRF2024/8/179994

……。

同位体に基づく大陸の岩石の年代測定を行うとき、注意しなければならないのが、岩石が融解することにより、それが無効になることである。逆に、それは融解がよくあったときを示すということでもある。

JRF2024/8/170204

>じつは、大陸の岩石の年齢の分布を描いてみると、いくつか明確なピークが現れます。これらピークの年代は、超大陸が形成された時代と一致することがわかっています(図5.12)。超大陸の形成は、散在していた大陸が1ヶ所に集合する現象であり、この時期に大陸が大量に増えたわけではありません。岩石の年齢の分布のピークは、大陸どうしの衝突による地殻の再融解と、それによる年齢のリセットが多く起きたことを意味しています。<(p.243)

JRF2024/8/175419

ただ、1ヶ所に集まらなくても、大陸と大陸がぶつかればそれが起こると思う。ただ、それはヒマラヤのように今も起きているので、かなり大きい衝突が岩石に記録されているとせねばならないのかもしれないが。

むしろ、そういう衝突が何度も起きていた…我々が想像する以上に、早く大陸が動いていた…ということはないのだろうか?

JRF2024/8/179843

……。

>大陸をつくる安山岩は、西之島のように地殻の薄い海底でのみ生成します。その安山岩は、プレートどうしの衝突時にリモービライズし、玄武岩質の下部地殻と分離されて集積します。プレートの衝突帯が“大陸の完成の場”だったのです。<(p.251)

プレートが下にもぐるときに、軽い安山岩が浮き残っていくイメージだろうか。

JRF2024/8/179574

……。

>地球その大きさから、火星クラスの原始惑星が6個、衝突・合体してできたと考えられています。<(p.252)

月もそのとき生じた…と。

ところで、現在の大陸の数も6個、これは偶然だろうか? 上の説が数を合わせたのだろうか?

JRF2024/8/175006

……。

約46億年前の地球生成時のマグマオーシャンは、しかし、500万年~1000万年で冷え固まるはずという。しかし、岩石は 40億年以上前のものが見つかっていない。途中、「後期重爆撃」による再マグマオーシャン化があった可能性も著者は否定しないが、積極的には支持しない。

その冥王代(46億年前~40億年前)について…、

JRF2024/8/173777

>私の考える冥王代の地球は、「厚い海洋地殻に覆われた惑星」です。その上には海が広がっていました -- “海惑星”と呼べる存在だったと考えられます。海洋地殻および海洋プレートをつくる中央海嶺の活動は、冥王代にはじまっていました。海洋プレートは動き、沈み込んでいたでしょう。沈み込み帯の火山活動も起こりましたが、上盤プレートの地殻が厚すぎて、生成するマグマは玄武岩質でした。

このような初期地球では、大陸は形成されませんでした。沈み込み帯で安山岩マグマの活動がはじまり、大陸地殻の材料がつくられはじめるまで、時間を要したはずです。
<(p.259)

JRF2024/8/172674

>大陸の材料となる安山岩マグマができるためには、30km より薄い海洋地殻が必要です。薄い海洋地殻をつくるためには、マントルがある程度冷えなければいけません。この条件が満たされたタイミングが約40億年前です。

海洋地殻の厚さが 30km を下回ったこのころ、沈み込み帯でのマグマ活動に変化が生じます。加水と減圧による部分融解が起きるのは変わりませんが、地殻が薄く圧力が低いために、マントルウェッジの浅い領域では玄武岩マグマではなく安山岩マグマが発生しはじめたのです。玄武岩だけしかなかった地表に、とうとう安山岩が加わりました。上部・中部が安山岩質で、下部が玄武岩質の海洋孤地殻の誕生です。

JRF2024/8/171462

海洋孤地殻は、プレート運動にともない収束境界に運ばれることがあります。そのプレートが沈み込むとき、玄武岩質の下部地殻はマントル深部へと運ばれる一方、安山岩からなる上部・中部地殻は地表付近に取り残されます。いくらか沈み込んだとしても、ある程度の深さで融解しリモービライズして、マグマとして地表にもどるのです。

こうして沈み込み帯に安山岩が集積していき、衝突帯で初めて大陸が誕生したと考えられます。
<(p.262-263)

JRF2024/8/175750

……。

>最後の謎「生命はどこで誕生したか?」に答えます。<(p.271)

>海が、とくに深海底の熱水噴出孔が生命の誕生の場だと考える人もいます。この考えはまだ否定されていませんが、定説になるには高いハードルを越えなければなりません。とくに、海水中で有機物の高分子化(脱水反応)を起こすのは難しく、熱水噴出孔説の最大の弱点といえそうです。<(p.271-272)

>最古の生命の証拠はどのようなものでしょうか? いまのところ、(…)小宮剛のグループが2017年に報告した 39.5億年前の地層に残る痕跡がもっとも古いようです。<(p.266)

JRF2024/8/173910

>小宮たちの論文に記された年代値を見て、私は驚きました。最古の生命の痕跡が残る地層の年代は、5.4節で紹介した最古の岩石 -- 大陸地殻を構成したもの -- の形成年代と非常に近かったからです。(…)大陸誕生直後に生命が誕生した可能性があります。この一致は偶然ではないと直感しました。<(p.267)

JRF2024/8/176806

>鈴木志野(…)が、サンフランシスコ北部のザ・シダーズの泉で、2017年に、“常識はずれの微生物”を発見しました。

(…)

ザ・シダーズの泉で発見された微生物は、その単純さから、初期の生命に近い存在と考えられます。とすると、その微生物が生きる泉は、生命誕生の場と近い環境ではないでしょうか。

JRF2024/8/179778

私がとくに注目したいのは、ザ・シダーズの泉の強アルカリ性の水です。この水は、岩石と地下水の反応により生じ地表に湧き出しています。岩石といっても地殻ではなく、マントルを構成するかんらん岩です。この場所では、かつて起きたプレートどうしの衝突のため、海洋プレートをつくっていたかんらん岩が地表近くに現れ、水と触れ反応しているのです。この反応の結果、かんらん岩が変質した蛇紋岩と pH が 11 を超える強アルカリの水が生じています。
<(p.268-269)

JRF2024/8/170375

>初期の地球で形成され、沈み込みを開始した大陸地殻も、現在のニューカレドニアと同じように上盤プレートを持ち上げ、マントルを露出させたはずです。このとき、マントル(かんらん岩)・海洋・大気が初めて出合いました。かんらん岩の蛇紋岩化反応がはじまったのです(図E.1)。ここで、大気と触れたことも重要だったと考えています。さきほど、熱水噴出孔説の最大の弱点として、有機物の高分子化(脱水反応)を起こすことの難しさを挙げました。

JRF2024/8/176196

この反応を進めるためには、大気が必要だったと推測します。地球誕生から6億年間は、マントルと大気の接触は起こらなかったはずです。そして、生命誕生の舞台が整った -- こう考えるのはどうでしょうか?
<(p.272)

生命の誕生は陸地だった…と。

JRF2024/8/170729

……。

……。

追記。

書き忘れてました。

この本は、かなり新しい本です。この「ひとこと」は引用が多過ぎ、私が業務妨害とされるおそれもあります。そのリスクを下げるために、この本に少しでも興味を持った方は、ぜひ買っていただければと思います。

JRF2024/8/185283

typo 「SiO4」→「SiO2」。

JRF2024/8/242201

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