cocolog:94997784
横山祐典『地球46億年 気候大変動 - 炭素循環で読み解く、地球気候の過去・現在・未来』を読んだ。二酸化炭素を気候変動の主因と見る本だが、私はむしろ水(水蒸気)が問題の本質なのではないかと思った。 (JRF 9112)
JRF 2024年8月12日 (月)
私は批判するために、CO2を原因とする温暖化には否定的な意見をいうことが多い。ただし、人為的な影響つまり経済が、気候変動の要因になりうることは、むしろ、積極的に肯定する。
環境問題については、これまでこの「ひとこと」などで自分なりにいろいろ愚考してきた。今回の本で説得された部分もあれば、逆に疑問も深まった部分もある。
この「ひとこと」では直近では、
JRF2024/8/121093
[cocolog:94992912](2024年8月)
>太陽光発電問題。太陽光発電は石油が枯渇してもやっていけるという自信を経済に与えた。だから世界経済の大幅な成長にアクセルを踏めた。それがエネルギー消費増、気温増につながった。…という仮説と、太陽光パネルの地表面被覆&熱を帯びる問題について。<
…ということを考えた。
JRF2024/8/121708
他に「太陽光発電を増やすマッチポンプのために、CO2 の「嘘」?」…という話を [cocolog:94886409](2024年6月)でしている。また、「核廃棄物は注意というこの世界の資源を浪費する小型ブラックホールなのだろうか」…という話を [cocolog:94922079](2024年7月) でしている。それらから過去の「ひとこと」に辿っていっていただければと思う。具体的な番号を言及せずに、この「ひとこと」で参照している部分もある。
JRF2024/8/127542
正直、この本のレベルに比べれば、私のこれまでの考えは子供っぽいかもしれないが、ただ、研究を知らず自分で考えただけのわりには、イイセンいってた部分もあるように思う。
JRF2024/8/126704
……。
あと、あまり気候問題とは関係ないが、いちおう、 ↓という電子書籍を私は書いて、正式版(第1.0版)に向けてそのブラッシュアップの最中ではある。ただし、大陸移動説については↓でも言及しているので、後述するようにそことの関係はある。
『宗教学雑考集 - 易理・始源論・神義論 第0.8版』(JRF 著, JRF電版, 2024年1月)
https://j-rockford.booth.pm/items/5358889
JRF2024/8/122346
……。
それではいつものように「引用」しながらコメントしていく。
JRF2024/8/122316
……。
>火星や金星に比べると、大気中の二酸化炭素濃度は低いため、地球の気候はきわめてマイルドだ。地球の地表付近の大気組成は、窒素が 78.1%、酸素が 20.9%、アルゴンが 0.93%、二酸化炭素が 0.035% となっている (数値は場所や時間によって変動する)。<(p.6)
これは、CO2 が原因だという温暖化に対する否定論でもよく取り上げられることで、これだけ二酸化炭素はわずかなのに、その二酸化炭素が気温上昇の主因というのは考えられない…とよく言われる。ただ、著者は、主因だと見ているようだ。
JRF2024/8/122182
そして酸素。以前私は、水素社会は酸素不足を導くという考察を [cocolog:94307849](2023年7月) にしているが、これだけの量があれば、基本的に酸素不足は起きそうにない。むしろ、二酸化炭素不足が起きそうなものである。
ところで、酸素などが多いことが温暖化につながることはないのだろうか?
JRF2024/8/129236
>現在の地球表層気温が氷点以上であるのは、水(水蒸気)やメタン、二酸化炭素などの音質効果ガスが、赤外線などの長波長の放射を宇宙空間に逃さずにトラップする機能があるためである。<(p.90-91)
JRF2024/8/124836
あと、環境省のサイトによると、酸素の次に多いのは、二酸化炭素よりも、量が不定の水蒸気とされる。水(水蒸気)悪玉論も私は前はよく言っていた。例えば↓。
[cocolog:68965974](2011年7月)
>日常的な感覚では、「温暖化」をもたらすのは、二酸化炭素って感じはなくて、「水蒸気」なんだよね。いろいろ反応しまくるのも(水)蒸気という印象が強い。
そういった「科学的」というよりは「感覚的」理由で、私は地熱発電にはあまり気乗りしない。
<
JRF2024/8/123508
あと、分子構造が複雑であることは、逆に「温暖化」の歯止めになりうることも私は主張している。
[cocolog:94886409](2024年6月)
>生物相つまり構造があることが、温度変化を抑えてる面もあるのかな…と思う。
(…)
生物が動的構造を持っていることが、風や物質循環の抵抗となったりバッファになっている面はありませんか? それが地球の温度変化を緩やかにしているということはありませんか?
(…)
O2 という比較的軽い物質が、CO2 という重い物質になることで温度上昇がしにくくなるということはありませんか?
JRF2024/8/126818
(…)
O2 が H2O になることで、冷えやすくなるということはありませんか?
(…)
太陽光発電は森もつぶしますし、CO2 も H2O も発生しないので、逆に地球の温度を上げているのではないかと疑います。
(…)
上で書いた私の構造物が温度変化を抑える理論が有望なら、太陽光発電を複雑な構造物で行うことで、(CO2 や) H2O を出さないデメリットを相殺できるのではないか…とか考えます。
(…)
ある意味 CO2 や H2O も「複雑な構造物」になるわけですよね…。
<
ここに致る前の議論が↓にある。
JRF2024/8/121932
[cocolog:94828661](2024年5月)
>>
○ 2024-04-19T03:52:24Z
私は、二酸化炭素を多く排出するような経済だったころのほうが再生可能エネルギーを使った経済よりも、温暖化が緩やかだったように直感している。前は、CO2 の海洋吸収が比熱や海藻などを通じて、温度上昇を抑えたと考えたが、「構造」にも着目できるかもしれない。
私は、[cocolog:94442919] で、再生可能エネルギーを使って構造物を作ることが、温暖化対策になると考えた。
JRF2024/8/129509
石炭・石油は、エネルギーを使っての探索を必要とし、地下に構造を作ることになる。それが良かったのではないか。
構造物が影を作り、または、流れを複雑にすることで、負のエントロピーの蓄積や、熱の発散などを助けていたのではないか。
地球が氷で覆われると逆に構造が単純化して、熱が貯まりやすくなるといった、平衡的プロセスもあるのかもしれない。
JRF2024/8/120645
ちなみに、負のエントロピーを担う構造物としては、生物も挙げられる。構造物があるほうが熱による温度上昇がゆるやかだということであれば、近年のような家畜を減らしたりする方向ではなく、生物を増やす方向を模索できるようになる。
<<
JRF2024/8/122094
要は、温暖化対策の名目で、家畜を減らしたり、動物を減らしたりする動きが許せないのだ。もちろん、許せないことと科学的事実は別だが、安易に何かを見過ごしていそうだ…という直感が許されないわけではない。この本で後に書かれるように生物が環境に与えてきた影響も大きかったからだ。
JRF2024/8/127212
……。
……。
>地球に入ってくる太陽光の反射率を指す「アルベド」<(p.22)
アルベドは、太陽光発電に関して考えねばならない部分だと思う。0.035% の二酸化炭素の変化が問題になるなら、メガソーラー程度の地表面被覆も問題になりうるかもしれない。
JRF2024/8/125609
……。
スヴァンテ・アレニウスは、1896年に二酸化炭素の温室効果ガスとしての役割について論文を発表した。アレニウスは、雲、雪、海洋のそれぞれのアルベドを算出し、雲量とアルベドの関係について研究し、二酸化炭素濃度の変化によって、氷河形成などが起きたと主張した。
ギー・カレンダー(1898〜1964)は、化石燃料が温度上昇を導いたと主張した。
>しかし、カレンダーが計算を行った当時は、人間が大気二酸化炭素を増加させても、海洋が吸収するので影響は出ないはずだと考える研究者も多かった。<(p.25)
JRF2024/8/126993
石炭・石油を堀り出して大量に消費したにもかかわらず気温上昇が20世紀後半まで大したものでなかった(p.24)というのも重要な論点である。なぜそこまで大したものでなかったか。燃焼が持っていた副次的効果(二酸化炭素排出など)が、気温上昇を妨げていた可能性はあると思う。そこまでの力があるものと言えば海をまず考えざるを得ない。海洋吸収や比熱の問題は大きいように思う。
JRF2024/8/127401
……。
地球には炭素循環による壮大なサーモスタットがあるという。ジム・ウォーカーを筆頭著者に 1981年に発表された論文の「ウォーカーフィードバック」。長くなるが、興味深いのでそれを引用しよう。
JRF2024/8/125301
>ウォーカーが見いだしたのが、地球表層で行われる炭素循環の壮大なサーモスタットの存在だった。彼は、地球表層には、二酸化炭素の濃度を一定の範囲に抑えるような仕組みが存在し、正と負のフィードバック機構があると主張した。ある現象をひきおこすきっかけとなる事象(トリガー)に対してそれを増幅させる作用を「正のフィードバック」とよぶ(…)。例えば、雪が増えると熱の反射が増幅され、寒冷化が進行するのは「アイス-アルベドフィードバック」と呼ばれる機構が働くからで、これが歯止めなく進むと、全球が凍結して「スノーボールアース」になる。
JRF2024/8/123843
これに対し、気候を温暖化させるしくみには、火山活動を通じた地中の火山ガスの供給があげられる。地球内部ではマントル対流が起きており、ほぼ継続的に二酸化炭素が火山ガスとして大気中に放出されている。これが続けば、二酸化炭素がどんどん増加していき、温室効果により、地球表層の気温が急激に上昇していくことになるが、実際にはそのようにはならない。温暖化を打ち消す、負のフィードバック機構が働くからだ。
JRF2024/8/129199
大気中の二酸化炭素を下げる負のフィードバックをもたらすのが、岩石の「風化」作用だ(…)。表層に存在する陸上の岩石は、もともとは地球の内部において高温高圧で形成されたものだ。それらは、地中にある限り、空気と水に同時にさらされることはない。しかし、地中にあった岩石がプレートテクトニクスなどの機構で地表に押し出されると、空気と水に同時にさらされる。ここで起きるのが「風化」作用だ。水や空気などの働きで、地表の岩石が破壊・劣化する現象である。
JRF2024/8/126851
主に二酸化炭素からなる温室効果ガスによる温暖化で表層気温が上がると、海水が蒸発して水蒸気になり降水をもたらす。二酸化炭素は水に溶けやすく、炭酸になって、地球表層の主要な造岩鉱物であるケイ酸塩鉱物の風化(ケイ酸塩風化)を起こす。その過程で、大気中から二酸化炭素が取り除かれる(…)。一方、地球表層には炭酸塩鉱物も存在し、風化(炭酸塩風化)が起きると同様に大気中の二酸化炭素を消費する(…)。ただし、炭酸塩好物は河川を通じて海洋に流れ込み沈殿反応を起こす。この際に逆反応を起こし、二酸化炭素を発生するため、炭酸塩鉱物の風化による二酸化炭素の削減効果は相殺されてしまう(…)。
JRF2024/8/129596
すなわち地球上の炭素循環において重要なプロセスは、ケイ酸塩風化によって生成された陽イオンや重炭酸イオンが最終的に炭酸塩として沈殿することで、結果的に大気中の二酸化炭素が大気中から取り除かれる反応だ。
JRF2024/8/127329
一連の反応が進むと、大気中の二酸化炭素濃度が低下することから、温室効果ガスの影響が小さくなり、表層気温は下がる。表層気温が下がると降水の減少などとともに風化作用も抑えられ、ケイ酸塩風化が減少することで逆に大気中の二酸化炭素濃度は上昇する。そこでウォーカーは、地球には、二酸化炭素のやり取りを通じた壮大な気候の安定化メカニズムが存在すると考えたのだ。
<(p.34)
JRF2024/8/126542
雨があること、水が液体で存在することがキモなようだ。そしてスノーボールアースになれば、水がなくなるが、そうすると、火山により二酸化炭素の放出が、風化で吸収されないため、いつまでも影響を及ぼし、やがて、スノーボールを溶かす…ということのようだ。
JRF2024/8/127624
>二酸化炭素が減少していくと、徐々に地球表層の気温は低下し、地表の多くが雪や氷で覆われるようになる。前述したように、表面が氷に覆われるとアルベドが増大し、太陽光が反射されてしまうので地球はますます冷えていく。このサイクルに歯止めがかからなくなると、地球はどんどん寒冷化していく。
(…)ジョー・カーシュビンクや(…)ポール・ホフマンらは、1990年代に、過去に何度か地球全体が真っ白い氷に覆われたという「スノーボールアース」仮説を提唱した(…)。カーシュビンクは、岩石に残された古地磁気を使った過去の緯度情報分析から、赤道域も巨大な氷に覆われていたことを証明した。
JRF2024/8/120546
(…)
寒冷化により、地球表層が氷で覆われ、アルベドが高まると太陽からの熱が反射され、さらなる寒冷化が進む。こうした循環ははてしなく続くように思われるが、炭素循環の枠組みまで考えると、ここでも地球の強力なサーモスタット機構が働く。実は、表層の気温が評点の0℃近くまで下がると風化効率はほとんどゼロに近くなる。つまり、大気中にある二酸化炭素を除去できなくなるのだ。
JRF2024/8/125775
その一方で、地球では、火山などから継続的に二酸化炭素を含むガスが大気に排出されるため、大気中の二酸化炭素濃度は徐々に高まってくる。温室効果ガスが増えてくれば、次第に地球表層の気温も上昇し、地表を覆っている雪や氷も融けて、アルベドも減少する。全球凍結からの脱出は、数千年スケールで大気に二酸化炭素が蓄積された結果、温暖化が進行して、熱帯の海域にある氷床を融解させ、黒っぽい海面を露出させることで気候の針を急激に逆回転させるという、いわば気候モードのジャンプを引き起こすことである。
JRF2024/8/120156
このようにして一方的に進んできた寒冷化にブレーキがかかり、温暖化への逆回転が始まり、スノーボールアースの時代は終わりを告げることになる。
<(p.36-37)
ただ、個人的な印象では、二酸化炭素だけでスノーボールアースが解消されるというのは考えにくい。氷で閉ざされることで地殻の流動が起きにくくなって、逆に火山活動が活発になり、マグマが氷を溶かし、それが熱い雨となって氷を溶かすなどがあるのではないか。
JRF2024/8/129928
時間が経過するほうがスノーボールが解消される可能性が増えるとすれば、二酸化炭素というより、火山ガスの蓄積により大気が分厚くなることで、大気で地殻が押され、火山活動がさらに活発になるのが大きい…という可能性はないのだろうか。
「温度」にはいろいろ定義がありうるが、ある種の「温度」が高いから CO2 が多くなるに過ぎないのではないか。
JRF2024/8/126032
……。
>第3章 暗い太陽のパラドックス<(p.73)
黒点の変化など、太陽活動が気候に与える影響は大きいはずである。が、この本は、あまりそういう観点を持ってこない。どうも恒星はその光量などが正確に予想できるということのようだ。何万年単位の時代変化などがないということが、この「太陽はかつては暗かった」という章で、逆に示唆されているようだ。
JRF2024/8/120206
Gemini さんによると、他の宇宙系からエネルギーがあって数万年単位で変化があることはありうるが、単独系である太陽にはその可能性は少なかっただろうという話だった。断言は避けられていたが。
JRF2024/8/122814
……。
暗い太陽のもとでも水は存在できるほどの温室効果が地球にはあったはずだ…ということのようだ。かつては、地球が「還元的」でアンモニアが大気に多く存在していたという説があったが、地球表面には鉄が多く、むしろ当初から「酸化的」でアンモニアは多くなかっただろうというのが今の定説のようだ。ただ、いろいろな条件からアンモニアがなかったわけでもなく…。
JRF2024/8/122946
>専門家のコンセンサスが得られるには至っていないが、現在よりも高い濃度の二酸化炭素を主体に、温室効果がより高い、メタンやアンモニア、硫化カルボニルなどが混合することで、「暗い太陽」でも温室効果をもたらすことができたと考える研究者は徐々に増えてきている。<(p.99)
大気の温室効果は、太陽よりも、むしろ、火山活動などの地熱活動の熱を外に出さない点で必要だったのではないか…という気が私はするが、そういうことではないという示唆もここには含まれているのかもしれない。
JRF2024/8/129985
後述するように地熱が(直接的に)氷床破壊などを通じて地球環境に影響を及ぼすことはないではないが、基本的には関係ないというのがこの本のスタンスのようだ。
Gemini さんに聞くと、大気の温室効果はやはり太陽活動に対するもので、地熱に対しては効果はあまりないとのことだった。
JRF2024/8/125011
……。
暗い太陽のもとでの温室効果については…、
JRF2024/8/126489
>GCM (…General Circulation Model: 大循環モデル…) を用いた(…)ミニック・ロージングと(…)ノーマン・スリープらの研究によると、陸域が少なかったことにより「アルベド」(地球の反射率)がこれまで考えられていたよりも、低かった可能性を指摘している。初期地球の表層には、大陸の面積が小さく青い海面が広がっていたことから、アルベドが小さく熱を吸収させる効果が大きかったというのだ。この研究チームは、アルベドにより熱放射が小さければ弱い大要光でも地球を凍らせるまでには至らないとネイチャーに報告している。<(p.102)
JRF2024/8/127464
火山活動の地熱を受け取めるのは大気というよりも水という液体だったということのようだ。
大陸という構造があるがゆえの複雑な流れができる前に、海底火山だけのなめらかなシミュレーションしやすい循環があった…ということなのだろうか。むしろ、初期地球のほうがデコボコは大きく、地殻活動は活発だったのではないだろうか。にもかかわらず海のほうが大きいというのは、水が多かったということなのだろうか?
JRF2024/8/123703
やはり大気中の水(水蒸気)のほうが問題なように私には直感される。風化も水(雨)が大きな役割を担う。二酸化炭素は、大気中の水の代理指標なだけではないのか?
大気に水が含まれるその多さに二酸化炭素が関連しているなら、また、話は別なのかもしれないが…。
JRF2024/8/121782
……。
地球には他の惑星に比べて酸素が圧倒的に多い。そこに致るには二度の大酸化イベントがあった。
>これまでの地質学的研究によれば、大気中の酸素量は約20億〜25億年前と5億〜7億年前にそれぞれ GOE (Great Oxidation Event: 大酸化イベント)、NOE (Neoproterozoic Oxygenation Event: 原生代後期酸化イベント)と呼ばれる2回にわたる酸素濃度の急上昇を経て現在と同レベルの酸素濃度に達したことがわかっている。<(p.104-105)
JRF2024/8/123761
原始的な植物…光合成を行うシアノバクテリア。最古のシアノバクテリアは 27億から30億年前ごろに登場しているようだ。
しかし、シアノバクテリアが放出する酸素は、他の生物に利用されたり岩石などの酸化に利用されたりすることで、なかなか増えなかった。そこで著者らが注目したのが「プレートテクトニクス」である。
JRF2024/8/125424
>これに対して、プレートテクトニクスが本格化した後に、徐々に大陸地殻を構成するようになった花崗岩などのケイ長質岩石は、苦鉄質岩石に比べて100分の1程度の酸素消費効果(還元力)しか持たない。すなわち、現在型のプレートテクニクスの開始によってそれ以前の苦鉄質の大陸地殻がケイ長質の大陸地殻に急速にとって代わられたことで、大気中の酸素の取り込み量が急激に減少し、大気中の酸素濃度が一気に増加したと考えられる。これにともない、酸素 - オゾン-メタンの大気での非線形な反応で急激な変化が起こる。<(p.119)
JRF2024/8/128536
プレートテクトニクスは、地球にしか存在しないのだという。どうも水の存在がプレートを作っているようだが、そういう記述としてはこの本には示唆しかない。
JRF2024/8/126305
私はやはりシアノバクテリアが GOE の原因ではないかと思う。当初はシアノバクテリアを食う者もいなかったのが、それを食って、さらなる栄養を求める(好酸素性の)捕食者が出てきて、それが死んだところに、シアノバクテリアが進出し、結果シアノバクテリアの生存可能域が加速度的に広がるようなことが起きたのではないか。そして、広がりきったところで進展がなくなるから GOE 後の倦怠期が生まれたのではないか。そういう仮説のほうが自然に思われる。
JRF2024/8/129972
プレートテクトニクスはその補助要因であろう。以前↓のようなことを言った。
[cocolog:74725750](2012年11月)
>昆布の成長の仕方とか考えると、緑のない地上にも大きな生物コロニーがあったんでしょうね。それって今はどこへ…。<
JRF2024/8/129973
プレートテクトニクスのおかげで酸素が消費されにくい地上または地上付近があったからこそ、好酸素性の捕食者が活躍し、そこにシアノバクテリアが広がることができたのかもしれない。そういう者が風化を助け、二酸化炭素を減らしミネラルを増やし生物が増える条件をさらに増やした面もあるのかもしれない。
いや、風化を助けたのは、むしろ「硫黄を代謝に使うバクテリア」(p.109)のほうだろうか? 逆に「風化」にあまり頼らずに済んだのが、シアノバクテリアの強さだったのかもしれない。
JRF2024/8/122078
……。
NOE について…、
有機物の堆積など…
>炭素を何らかの化合物の形で保管するものを「炭素レザボア」という。<(p.123)
JRF2024/8/129258
>GOE 終了後のおよそ10億年間は、地表に巨大な炭素貯蔵庫が次々に建設された時代と考えればわかりやすいだろう。すなわち、大陸地殻の成長に伴って浅海域が拡大し、大陸地殻の炭素レザボアが大きくなり、地球表層への二酸化炭素の供給量が多くなったことが、光合成の律速要因を取り原い、酸素濃度の急激な上昇につながった。<(p.123)
コケ植物の地上進出は 4億7千年前からあるらしい。Twitter (X) では土ができたのが5億年前からということであった。
JRF2024/8/120436
《陸上植物の進化-概要》
https://www.nibb.ac.jp/evodevo/tree/02_02_land%20plants.html
NOE はちょうどそのころなので、炭素レザボアが、地表にもできる蓄積が、本格化するのがそのころなのではないか。
JRF2024/8/121746
GOE で急速に二酸化炭素が酸素に変換され、利用できる二酸化炭素が減って、植物増に待ったがかかったが、植物が(水に溶けてないため)二酸化炭素をより吸収しやすい地表への上陸を果たすことで、さらに植物が増えることができた…ということなのだろう。
JRF2024/8/120213
そして植物は巨大化していく。それ以前から藻類は巨大化していただろう。(海洋)土壌を通じた「構造化」が(日かげを作ったり風化を増減したりするなど)気象(や気温)を様々にコントロールするようになった…ということかもしれない。それは自分達に有利な方向に行われがちなことから、基本的には、スタビライザーとして機能したのであろう。
JRF2024/8/125170
……。
>古生代ペルム紀の終わりである2億5000万年前ごろに誕生した超大陸「パンゲア」は、中生代三畳紀(2億年前)になると再び分裂を始めて、白亜紀には図5-2のように小さな大陸へとバラバラになっていった。<(p.131)
私は、大陸移動説は認めるが、パンゲア大陸の存在を信じていない。
JRF2024/8/122783
『宗教学雑考集 第0.8版』《大陸移動説》
>ところで、私は「大陸移動説」に疑問がある。もちろん、大陸が移動することには疑いはない。しかし、元が一つの大陸=パンゲア大陸だったというのが信じられない。回転する天体で、元が一つの大陸だったというのが不安定に思え信じられないからだ。
プレートの移動方向や境界が変わり、くっついたり離れたりを繰り返しているとするのは矛盾をきたすのだろうか? 大陸が元が一つではなく移動しながら離合集散を繰り返しているという説は現在、矛盾が見出され否定されているのだろうか?
JRF2024/8/127869
私の記憶では、その説は、最初、パンゲア大陸があった…それこそぶつかった隕石が大陸かになったかのように、そういう大陸があったと言わんばかりの説であったと思う。しかし、Wikipedia によると現在では、唯一の大陸であったパンゲア大陸は「一時的に」(といってもかなり長い間だが)存在したとなってるようだ。
JRF2024/8/122692
(…)
確かに何度も衝突や分離を繰り返しているものがあるとき、たまたますべてが一箇所に集まるようなことを起きうる。しかし、それが、ちょうど現在の大陸を含む形であって、そこから分裂して、何度も衝突を繰り返すことなく今に致ったというのは「できすぎ」ではないかと思う。
<
この本には、パンゲア大陸から移動がはじまったことを示す例のように、南極大陸の周りに海流ができた話などが書かれるが、しかし、それはパンゲア大陸の存在を肯定しないと私は思う。
JRF2024/8/121576
……。
白亜紀…
>海洋底の拡大速度も 40~50% ほど速かったことが確認された。<(p.147)
仮に、パンゲア大陸が存在した場合、地球に無理な力がかかっていた可能性があり、それがゆえに地殻変動が増大したという可能性はあるのかもしれない。
JRF2024/8/125081
……。
白亜紀の氷床がどこにも存在しない「グリーンハウスアース」すなわち温室地球はなぜ存在できたか。
>現在の2倍もある陸弧の長さとそこに沈み込む「炭酸塩岩に富む岩石」。私たちは、この組み合わせが膨大な量の二酸化炭素を生むことに着目した。<(p.157)
JRF2024/8/120845
プレートの変化速度が現在よりも40%〜50%でなくもっと早ければ、一時的にパンゲア大陸というのも出現しえたかもしれない。そしてそれぐらい活発な活動においては、パンゲア大陸とは別の大陸…たとえば「アトランティス」が存在していて、それがプレートに沈み込み「炎上」することで、二酸化炭素が大量供給された…というシナリオはないのだろうか? そんな妄想もしてしまう。
逆にかつてそういう妄想があったことの痕跡を残すのが、著者らの主張なのではないか?
JRF2024/8/127373
……。
ところで、なぜ、そんなに地殻活動・火山活動が活発だったのだろう? それに対する説明は著者らにもないように思われる。やはりパンゲア大陸があるような地球の偏りが大きかったのだろうか?
JRF2024/8/121877
……。
太陽活動の変化の影響はあまりないようだが、公転や自転による周期的な変化はあるようで、それが氷期と間氷期のリズムを作っているようだ。それをミルティン・ミランコビッチにより「ミランコビッチサイクル」という。
約4万年周期の地球自転軸の傾きの運動、約10万年周期の木星や土星の引力の影響を受けた地球の公転軌道の離心率の変化、約2万6000年周期の地軸の公転面に対する回転である歳差運動。これら三つの運動は一つ一つの影響は小さいが、重なると大きな変化を生むというのがその理論である。
JRF2024/8/127689
……。
>温室効果ガスである二酸化炭素が、地域的な偏りを打ち消してきたのだ。<(p.252)
いや、海洋と他の大気も影響している。こういうところを読むと著者の偏りを感じざるを得ない。
JRF2024/8/121151
……。
>図9-1 南極氷床コアの記録<(p.253)
ここのグラフを見ると、大気二酸化炭素の上昇と気温の上昇がバッチリかさなっているように見えるが、細かく見ると、気温の上昇のほうが大気二酸化炭素の上昇の原因になっているようにも見える。
JRF2024/8/124124
この点は、温暖化否定論では活発に取り上げられるところで、そこでは二酸化炭素が温暖化の原因ではなく、温暖化が二酸化炭素増の原因とされる。温暖化は別に理由があるというのだ。それは太陽活動の変化かもしれないし、地熱(海底火山等)の変化かもしれないし、他に理由があるのかもしれない。
《データが語る「人為的地球温暖化説」の崩壊 - 松田 智 - アゴラ 言論プラットフォーム》
https://agora-web.jp/archives/240806054159.html
JRF2024/8/127222
>4:CO2の発生源と吸収源は多数あります。ただし、大気中のCO2の変化は地球の気温の変化に追随し、地球の気温の変化は海面温度の変化に追随します。
5:2020~2021年のCOVID関連のGHG排出量の減少による大気中のCO2への影響は目立ちません。これは、大気中のCO2の自然の吸収源と発生源が人間の寄与をはるかに上回っていることを示しています。したがって、将来化石燃料の使用を削減しても、大気中のCO2の量に大きな影響を与える可能性は低いでしょう。
<(ブログ Climate4you の訳)
JRF2024/8/124901
4は、書いてあることを逆に言うと、温度変化は海水温→気温の順に起こり、気温変化→大気中CO2濃度変化の順に起こる、となる。「人為的地球温暖化説」ならば、大気中CO2濃度→気温変化→気候変動、海水温変化の順になるはずだが、ちょうど真逆なのである。さぞや温暖化論者たちにとっては「えらいこと」「そんなバカな・・」であるだろう。
JRF2024/8/121586
しかし、科学的に冷静に考えてみれば、この記述には何の不思議もない。まず、温度変化が海水温→気温の順に起こるのは、熱容量が両者で1000倍も違うから当然である。無論、海洋の熱容量が大気の1000倍以上大きい。だから、気温は海水温変動に敏感に追従するが、逆に気温が少々変動しても海水温はほとんど変化しない。
(…)
それでは、海水温がなぜ変動するのかと言えば、それはまだ十分に解明されていない。
<
JRF2024/8/123047
一つには燃焼系がなくなって、空がキレイになり過ぎたからということも考えられているのかもしれない。
《わざと空に「汚染物質」をまいて地球を強制冷却するという恐るべき計画を真剣に議論する時が来ていると気候学者 - GIGAZINE》
https://gigazine.net/news/20240802-solar-geoengineering/
JRF2024/8/129419
そもそも温暖化しても困るのは人間だけだという論もある。
《脱炭素化は地球を救うか - 池田 信夫 - アゴラ 言論プラットフォーム》
https://agora-web.jp/archives/240810051953.html
JRF2024/8/127671
>グテーレスは「地球を救え」というが、地球は救ってもらう必要がない。今まで地球にはマイナス20℃の氷河期もあれば、今より暑い中世温暖期もあった。そのときも地球の生態系が滅びることはなく、温暖期のほうが農産物は豊かだった。多くの動物にとっても、温暖化は望ましい。地球温暖化は(これまで数百年の気温に慣れてきた)人間だけの問題なのだ。<
JRF2024/8/127380
……。
最終氷期から間氷期の間に大気二酸化炭素濃度は 80ppm も差がある。氷期のほうが少ない。これを説明するのに「溶解ポンプ」「有機物ポンプ」「炭酸塩ポンプ」が、海水に二酸化炭素を閉じ込めたという仮説が考えられるが、どれも 80ppm を説明するのには不十分なのだという。
>大気から二酸化炭素が溶けて隔離される作用を「溶解ポンプ」と呼ぶ。
JRF2024/8/123216
約2万年前の地球は、最終氷期最盛期にあたり、低緯度海域で約2.5℃。高緯度海域で約5℃水温が低かった。前述したように、気温が下がると、二酸化炭素の海水への溶解度が高まるため、その結果、大気中の二酸化炭素濃度は減少する。簡単なモデルを使った計算では、この作用だけで、当時の大気中二酸化炭素濃度が、現在より約30ppm低くなったことがわかっている。
<(p.256)
JRF2024/8/125204
逆にいうと、温度が高くなれば、二酸化炭素が増えるという方向をここで認めていることになる。しかし、「その効果は薄い」と言いたいのだと思う。
JRF2024/8/125528
……。
>高校化学で習った「ヘンリーの法則」を覚えているだろうか。温度が一定のとき、一定量の液体に溶解する気体の質量はその気体の圧力に比例するというあれである。当然のことながら、海洋に溶け込む大気ガスにもヘンリーの法則が当てはまる。人類が放出してきた二酸化炭素は、この法則だけに従うと、これまで排出された量のおよそ3%程度しか溶け込めない。
しかし生物が間に入ることで格段に効率があがる。
<(p.258-259)
最近では、温暖化対策としてだと思うが、藻を増やそうという試みがあるようだ。
JRF2024/8/122677
……。
>驚くなかれ、深海まで運ばれた有機物は、大気との接触を平均で1000年以上断たれることになる。この作用によって隔離が成功し、大気の二酸化炭素を海に閉じ込めることができるのだ。もしこの有機物ポンプが駆動しなくなったら、海の炭素が放出され、大気にある二酸化炭素量は現在の3倍ほどに増加すると考えられる。<(p.261)
逆に地上の有機物はかなり循環しており、二酸化炭素の有効利用ができている…ということかもしれない。
JRF2024/8/129014
……。
>「リービッヒの最少養分の法則」をご存じだろうか。植物の生産量は、生育に必要な元素の中で最も少ないものによって支配されるという考えだ。19世紀のドイツの化学者リービッヒが、肥料の三大成分(窒素、リン酸、カリ)のどれが不足しても植物は正常に生育しないところから導き出した。<(p.265)
ジョン・H・マーティンは中でも地球には豊富にあるはずの鉄が海中に足りないため、植物プランクトンが増えないという説をとなえたらしい。そして「私にタンカー半分の鉄をくれたら、地球を氷期に突入させることが可能だ」と啖呵を切った。もしそれが本当なら、今後温暖化対策への大きな武器になるだろう。
JRF2024/8/120286
ところで、最近、Twitter (X) で、河川がキレイになり過ぎたために、海で栄養が不足しているという話があった。
《がう 食品の「ウラ」に詳しい人:X:2024-08-09》
https://x.com/Gau_desu/status/1821738785698443293
JRF2024/8/128241
>これけっこーガチな話で、「汚水を流せ!」と言ってるところがあります。
広島です。山のミネラルなどは、本来海に流れ込みます。しかし、治水・下水処理技術が進んだ結果、水がキレイになりすぎ、カキが栄養不足に。今年から下水処理能力を下げる実験が始まります。
何事もやりすぎは良くない。
(付: もっと直接的にそのことを主張するツイートがあったが、批判を受け過ぎたせいか、消されてしまった。)
<
JRF2024/8/125213
護岸工事などが問題という意見も見た。草は刈られても川に流されず、護岸工事されて土と川との距離ができ、栄養(特にミネラル)が流れていかない…というのはあるかもしれないと思う。それで植物プランクトンの生成に歯止めがかかり、二酸化炭素の吸収が抑えられている…という面はあるのではないかと思う。そして、植物・動物の全体量が減って、スタビライザーが機能しづらくなって、温暖化が進んでいる面もあるのかもしれない。
JRF2024/8/126142
……。
>海洋の深層で二酸化炭素を1000年にわたって大気から隔離する海洋の深層循環とはいかなるものだろうか。この循環は、海水の水温と塩分による密度の違いによって駆動されており、前述したように熱塩循環と呼ばれる。<(p.277)
北極と南極で冷えて塩分を増した海水が深層に沈み込み、太陽や地熱で温められて表層に浮かぶ流れがある。
JRF2024/8/126285
>二層に分離された海の水を混ぜるにはどのようにすれば良いか。カギを握るのは「サーモクライン」と呼ばれる、ある深度で温度が低下する層である。この層をうまく攪拌できれば、表層の温かい水と深層の冷たい水とがうまく混ざり合うことができる。「攪拌」の原動力となるのが「風」である。風によって表層の水が移動すると、それを補うために下の層から水がわき上がってくる。<(p.278-279)
風については風力発電について次のようなことを私は書いている。風力発電が海洋循環に影響するかもという話。
JRF2024/8/129070
[cocolog:94886409](2024年6月)
>風力発電は、基本的には、風への抵抗によりエネルギーを大気から奪うのですから、これこそ上がった気温を下げるのに有効なものという直感はあるのですが、ただ、通気を悪くすることで、めぐりめぐって都市部の気温を上げているのではないか…という疑いはあります。<
JRF2024/8/128436
[cocolog:94329573](2023年7月)
>
jrf> 海上風力発電などを念頭に置くのですが、大気中に逃げたエネルギーを吸収して、何らかの物質などにすることで、地球の温度を下げていくというビジョンについてはどう思いますか。
Bard> 海上風力発電は、地球温暖化を食い止めるために有効な方法の一つです。ただし、海上風力発電には、コストが高いという課題があります。
JRF2024/8/122272
jrf> ところがです。風力発電は、風を遮ることで、大気循環を妨げ、その部分の気温を上げている可能性があるのではありませんか。そして、大気循環を妨げるということは気温の高いところから低いところへの熱移動を妨げているということで、それは気温が低い海洋の熱が上がらない、それは、海洋循環を変化させることになるのではありませんか。近年話題になっている、海洋循環の変化に風力発電が影響しているということはありませんか。まぁ、今の規模の風力発電にそこまでの影響力はないようにも、直感的には思いもしますが。
JRF2024/8/129324
Bard> 風力発電を導入する際には、大気循環への影響について十分に検討する必要があります。風力発電が海洋循環の変化に影響を与えている可能性は低いですが、今後も研究が続けられる必要があります。
<
JRF2024/8/125241
……。
南半球と北半球でちょうどシーソーのように気温が逆の傾向を示すことがある。その原因の一つとして、巨大氷床の海洋への流出が、むしろ、低温下においてこそ起こることがある。
JRF2024/8/129902
>氷床は地殻の上に載っており(…)、地殻からは地球内部から熱がたえず供給されている。こうした熱は、氷床を経由し、大気へと放散されていく。ところが、地球の寒冷化がいちだんと進むと、地殻の上の載っている氷床が成長し、氷床が分厚くなる。こうなると、地熱が分厚い氷床に遮られて大気への放熱効率が低下するため、氷床内に熱が蓄積するようになる。その結果、地殻と面する氷床底部(氷床基底部と呼ぶ)が融けて水の層が生じる。この層が「潤滑油」の役割を果たして、氷床の上部を上滑りさせ、巨大氷床の海洋流出を促すのだ。<(p.307)
地熱の影響もあるにはあるが、この程度であるという理解のように見える。
JRF2024/8/123272
……。
>従来の気候モデルでは、大気中に含まれる二酸化炭素と熱塩循環に象徴される海流いよって駆動する「地球のサーモスタット」の働きで、北半球と南半球の気候が平準化され、温暖化と寒冷化が南北とも同期して起こると考えられていた。
しかし、実際には、氷山崩壊のような局所的イベントが起きると、磐石と思われた「サーモスタット」に変調が生じ、寒冷化するタイミングにズレが生じるばかりか、北半球が寒冷化すると、南半球が温暖化するような逆位相の気候変動が起きることが、近年の研究でわかってきた。
<(p.312-313)
JRF2024/8/125778
>地球に到達するエネルギーの総量は変わらないため、その南北分配が変わるメカニズムが働けば、北半球が寒冷化したときに南半球が温暖化を起こすという「逆位相の気候変動」が生まれる。<(p.314)
JRF2024/8/125509
>巨大氷床崩壊などの影響で深層循環が弱まると、それまで熱帯から高緯度帯に運ばれていた熱エネルギーが滞るようになり、余った熱が生じる。これが南半球に伝播し、気候の温暖化をもたらす。
しかし、南半球にある海洋は、北大西洋に比べて、その体積が大きいことや、大気に比べて熱を蓄える能力が大きいため、南極まで熱が伝わるのに時間がかかる。あたかも、南太平洋や南大西洋がコンデンサー(蓄電器)のように振る舞うことによって、熱の伝わり方はマイルドなものになる。
<(p.314-315)
JRF2024/8/123777
パンゲア大陸のところで思ったのだが、大陸の配置によって、地軸の位置も決まってくるのかもしれない。南極の氷床を含めた重さが、北半球の地表の多さと釣り合って、現代の安定した地殻活動があるとすれば、氷床がなくなればどうなるのか。海洋循環はそういった地殻変動を起きにくくしているのかもしれない。それは水が持つスタビライザーとしての機能なのだろうか。「水に命がある」ではないが、水の惑星であることが、地球の大きな秘密なのかな…と思った。
JRF2024/8/127332
……。
読書後、Gemini さんと気候変動対策について議論になった。
再生可能エネルギーを主力に推す Gemini さんに対し、最後私が言えたのは次のようなことである。
JRF2024/8/126869
>
jrf> 再生可能エネルギーはエネルギー消費増をもたらすでしょう。二酸化炭素は抑制されるかもしれませんが、それが地球に熱をためていく可能性はかなり高いと私は見ています。それを抑制するには、熱を宇宙に強制的に逃がす…たとえば核のゴミを宇宙に逃がしたり、生物を宇宙に移住させたりしなければ、究極的には解決できないとみています。本当に再生可能エネルギーが気温低下をもたらすのなら、その懸念はなくなるのですが。
<
再生可能エネルギーによる気温低下の証拠をまず期待したい。
JRF2024/8/122494
typo 「>4:CO2」→「>>4:CO2」。
typo 「海流いよって」→「海流によって」。
JRF2024/8/298673
『地球46億年 気候大変動 - 炭素循環で読み解く、地球気候の過去・現在・未来』(横山 祐典 著, 講談社ブルーバックス B2074, 2018年10月)
https://www.amazon.co.jp/dp/406513515X
https://7net.omni7.jp/detail/1106922949
JRF2024/8/126182