cocolog:95018042
佐野貴司『海に沈んだ大陸の謎 - 最新科学が解き明かす激動の地球史』を読んだ。超大陸の成立の背後に、薄くて深い海洋底の成立とそれによる水位減による陸地増があり、それこそが「反大陸」なのかな…と考えた。私は気候変動アルベド主因論も考えた。 (JRF 8578)
JRF 2024年8月25日 (日)
直近で、横山祐典『地球46億年 気候大変動 - 炭素循環で読み解く、地球気候の過去・現在・未来』を [cocolog:94997784](2024年8月) で読んで、田村芳彦『大陸の誕生 - 地球進化の謎を解くマグマ研究最前線』を [cocolog:95005765](2024年8月) で読んで、中川 毅『人類と気候の10万年史 - 過去に何が起きたのか、これから何が起こるのか』を [cocolog:95012049](2024年8月) で読んで、その続き。
それらで読んだことはここではほぼ繰り返さない。
JRF2024/8/259058
……。
これまでのところ、大陸移動説について次のように考えた。
私は大陸移動説に疑問がある。大陸が移動することに疑問はない。しかし、唯一の超大陸であるパンゲア大陸があったというのが信じられない。回転する天体で、元が一つの大陸だったというのが不安定に思え信じられないからだ。海岸線の一致は、あちらに着いて離れて別のところに引っついてという離合集散を繰り返しているのでも説明できる。
JRF2024/8/258052
しかし、古地磁気や植生の化石などからパンゲア大陸はどうも成立していたと思われる。しかも、超大陸が成立していたのは一度ではなく、通算すると結構長い間になるようだ。
そういうことなら、超大陸を成立させるような仕組みがむしろ地球に備わっていなければならない。大陸地殻は海洋地殻より軽いこと、軽いものが一ヶ所に集まるとすれば、それは別の何かが一方で生じていることが多いことを考えると、大陸では必ずしもない「反大陸」的なものが先にあって、それが超大陸を成立させるのではないか。
JRF2024/8/253883
Gemini さんに金星はプレートテクトニクスがない代わりに膨脹と収縮によるリソスフェアテクトニクスがあるかもしれない…とのことだった。超大陸・反大陸のメカニズムはひょっとするとリソスフェアテクトニクスに近いのかもしれない…と思った。
また、究極的に「反大陸」は、超大陸が成立していない今、まったく観測できないという可能性があるともできる。
…このような考えをさらに発展させるために買って読んだのが今回の本ということになる。
JRF2024/8/259656
……。
それではいつものように「引用」しながらコメントしていく。
JRF2024/8/259550
……。
少なくとも数万年の過去にも「海に沈んだ大陸」はないが、「巨大海台」というものはあるらしい。
>巨大海台の中には、かつて海面から頭を出していた部分も存在することがわかっています。<(p.3)
ただし、その多くは、海洋地殻であって、大陸地殻のものは数少ないらしい。大陸地殻のものもニュージーランドあたりにあるが、それは薄く引き延ばされているということのようだ。この本のあとで出てくるジーランディアがそれである。
この場合、大陸地殻だが、引き伸ばされることがあるのは、海洋地殻でもありうるのだろう。
JRF2024/8/252420
……。
>ジェームス・チャーチワードという人が書いた『失んわれたムー大陸』(ボーダーランド文庫 小泉源太郎 訳)<(p.13)
これがムー大陸伝説の「原典」なのか。ムー大陸は1万2000年前以前に沈んだ…とのこと。当然、その証拠はどうやっても得られない。しかし、何億・何十億年というスパンで見ればどうか…というのがこの本。
ムー大陸は大陸下のガス・チェンバー(ガス溜まり)からガスが抜けて沈んだ(p.19)ことになっているのだが、この点は、カルデラ噴火を思わせ、一定の説得力がある。
JRF2024/8/258944
地球が膨脹し、反大陸が大陸のように生まれるとすれば、(パンゲア)超大陸が「軽い」以上、その相手も「軽い」ことが想定される。それが本来重い海洋地殻で生じるというなら、その海洋地殻の下が「軽い」ということも想像する。膨脹が軽い物質…特にガスによるとすれば、反大陸の解消はそれがハジけて陥没するというシナリオになる。
ただ、そこまでの「爆発」なら、何十億年前でも何か証拠が残りそうなものではある。数億年レベルなら後述されるように大火山の影響は観測されているからだ。
JRF2024/8/253489
ガスがゆっくり抜けていく…というのは、別のシナリオということになるだろう。それはつまり、収縮がゆっくり起こったというに過ぎないから。
JRF2024/8/252265
……。
>ムー大陸伝説のように大規模ではありませんが、日本にも海に沈んだ島の伝説がいくつかあります。その中の一つが、大分県の別府湾に沈んだとされる瓜生島[うりゅうじま]の伝説です。
(…)
1596年の巨大地震に襲われて、一夜にして海に沈んでしまったというのです。
(…)
しかし海底調査の結果、瓜生島のような大きな島が存在した痕跡は見つかりませんでした。瓜生島は伝説上の島にすぎないという考えも多く、いまだに静かな論争が続いています。
<(p.20-22)
日本にも沈んだ島伝説はあるんだね。日本神話の淡島はまた別なのかな?
JRF2024/8/250191
…… 。
>これら巨大海台の存在に注目したのが、スタンフォード大学(アメリカ)のヌル教授とベン・アブラハム教授です。彼らは世界中の海底地形を精力的に調べ上げ、巨大海台は西太平洋とインド洋に多いこと、面積にして海洋底の10%を占めることなどを明らかにしました。<(p.24)
現在は北半球に陸地が偏っているので、南にそれをバランスさせる何かがあってもよい。そういう視点で、↓の赤い部分が、反大陸的なのか…と私は以前、考えた。それは東南太平洋に大きい。
JRF2024/8/256234
《海洋底拡大説 - Wikipedia》
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%B7%E6%B4%8B%E5%BA%95%E6%8B%A1%E5%A4%A7%E8%AA%AC
西南太平洋の海台ほうが大陸的ではある。この点、どう考えるべきなのか…。
JRF2024/8/255309
……。
>図1-5の中で最も目につくのが、ニュージーランドを取り囲む南太平洋の4つの巨大海台「ロードハウ」「ノーフォーク」「キャンベル」「チャタム」でしょう。4つの巨大海台を合わせた面積はグリーンランドよりもはるかに大きいため、もしこれらすべてが海面上に頭を出していたら、7つ目の大陸として数えられていたはずです。事実、これら4つの巨大海台とニュージーランドを合わせた地域を「ジーランディア」と名付け、「大部分は海面下に存在するが、地質学的には大陸である」と主張する研究者もいます。その根拠は、ジーランディアをつくる岩石の種類が大陸と同じであり、海洋底とは異なるという事実です。<(p.30)
JRF2024/8/254299
ジーランディア。
JRF2024/8/258761
……。
地層の塊を「地塊」と呼ぶ。隣あった地層の岩石の種類が一致しない地塊を…
>「テレーン(terrane)」<(p.36)
…と呼ぶそうだ。これがどうもいろいろツジツマを合わせるのが大変で、そんな中で、例えば日本の南部北上帯のように、一部だけ年代が周りと違うようなものがあり、それを説明するのに、非常に長い距離、移動した陸地が考えられるようになった…ということのようだ。
JRF2024/8/252542
……。
プレートの定義(これまで読んだ本にもあったと思うがメモしてなかったので)…、
>地殻とこれまでに解説してきたプレートとの違いがわかりにくいですが、この2つは別物です。プレートとは、地殻とその下のマントルの固い部分とを合わせた層を指します。<(p.50)
JRF2024/8/253904
……。
>海洋プレートの成長は厚さを増すだけではありません。冷えて縮まるために重くなり(密度が高くなり)、下に沈んでいきます。中央海嶺で形成されたとき、プレートはアセノスフェアにプカプカ浮いていたのに、密度が高くなったため、アセノスフェアを下に押し下げるのです。このため、中央海嶺での海洋底(プレート表面)の水深は2500m程度であるのに対し、1億年も経つと5000mを超える深海となるのです。<(p.59)
JRF2024/8/252625
地球が熱で膨張するときは、海洋底が引き延ばされて薄くなり、アイソスタシーにより、海が深くなり、水位が下がって陸が大きくなるのだろうな。ただ、それよりも海が広くなって断層に達するまでに時間がたって冷えて、重くなり沈むという効果で水位が下がるほうが大きいのだろうか…。
JRF2024/8/259234
……。
>なお、巨大海台が海洋プレートに強くへばりついていると、海洋プレートの沈み込みが止まってしまうこともあるようです。このようなことが起きると、ほかの多くのプレートの動きが変わってしまいます。実際、長い地球の歴史において、世界中のプレートの動きがガラリと変わってしまった時期が何回もありました。巨大海台の大陸への付加は、プレートの動きが変化する原因の一つと考えられています。<(p.62)
JRF2024/8/253655
なるほど、プレートの動きが止まることもあるのか。以前の本ではヒマラヤの形成時に、海でないのにプレートが沈むのは「慣性」のようなものがついてて沈み込むからだ…みたいな議論があったが、逆に、止まって動かなくなることもある。…ということのようだ。
JRF2024/8/257479
……。
>太平洋プレートは2億年より前には存在しませんでした。<(p.63)
パンゲア大陸の成立時にあった「古太平洋」には太平洋プレートはなく、三つの別の大きなプレートがあって、その中に太平洋プレートが生まれたということのようだ。しかし、それは「爆発」があって、そこに太平洋プレートが生まれたわけではない。また、ガスが抜けて沈み込んでいるものがプレートの形になるはずがない…とすれば、(私が考えるところの)現在は収縮しているはずの地球において、なぜ太平洋プレートは生まれ成長できるのか?
JRF2024/8/251143
沈み込んでいるとすれば、プレートの端の断層においてである。地球の収縮のためにそこで沈み込んでいくのだが、それに引っぱられる形でちょうど真ん中あたりが「割れて」穴が開き、それに対するカサブタのようにしてプレートが成長する。それが太平洋プレート…となるのだろうか。沈み込む分よりカサブタの分のほうが小さく地球は収縮していることになる…と。
JRF2024/8/253447
……。
火山岩が獲得した熱残留磁気化(つまり古地磁気)の情報は三つある。1つ目は磁場の逆転の情報。2つ目は北が真北からどれだけずれていたかという偏角の情報。3つ目が伏角。
>伏角は磁石の地面に対する傾きです(…)。(…)伏角から火山岩ができた場所の緯度がわかるのです。<(p.66)
伏角がわかるがゆえに、パズルのようにパンゲア大陸が成立していたことなどがわかるということらしい。しかし、経度まではわからないので完璧ではない。まだ、パンゲア大陸が成立してないチャンスもわずかながらあるように思う。
JRF2024/8/250601
……。
今の太平洋プレートができ始めた時期と、パンゲア大陸が分裂し始めた時期がとても近い。
>バルトリーニ博士らは、これらの時期の一致に注目し、「沈み込み運動の活発化に伴い、3枚の海洋プレートは超大陸の下に急激に引き込まれ、3枚のプレートが接していた点に隙間が生まれた。そこに新しいマイクロプレート(…つまり後の太平洋プレート…)ができた」と主張しました。<(p.72)
JRF2024/8/254063
>パボーニ博士は、パンゲア超大陸が分裂し始めた場所と太平洋プレートの誕生した場所が、互いに地球の真裏にあたることに注目しました。そして、地球のある地点とその真裏の地点に深部からの物質の湧き上がりがあり、これがマントルを対流させると提案しました。湧き出し口では超大陸の分裂や新プレートの誕生が引き起こされたことでしょう。つまり、地球深部からの物質の湧き上がりが太平洋プレート誕生の原因であり、沈み込みの活発化は原因ではないと主張したのです。<(p.73)
JRF2024/8/252076
私のカサブタ説はバルトリーニ博士の説に近い。Gemini さんはマントルプルームやホットスポットを重視するようなのでパボーニ説が主流なのだろう。とりあえず今のところ私はカサブタ説を維持する。
太平洋プレートがアンティ・パンゲア大陸だったのか? 私はアンティ・パンゲア大陸の成立がパンゲア大陸を導いたと考えるので、アンティ・パンゲア大陸はパンゲア大陸の前になければならない。だからどちらかと言えば今の太平洋プレートは、アンティ・パンゲア大陸的なものが沈み始めたときにできたということだろう。
JRF2024/8/251260
地球が膨張するとき、海底地殻が引っ張られ薄くなり海底は深くなるがすべりが良くなり、沈み込みはむしろ、他のプレートを押し出すという形になるのではないか。冷えているプレートの沈み込みが減って、マントルの温度も下がらなくなり、地球はますます熱膨張していく。それがやがて地表で超大陸を形成すると、それ以降、大陸が互いに押し合うのが邪魔して、膨張するのが難しくなる。すると、海底地殻が「真ん中」でポキっと割れて、深くへの沈み込みが開始する。
JRF2024/8/250679
すると、冷えたプレートの沈み込みが増えることで、マントルの温度が下がり、地球が収縮をはじめる。「慣性」で沈み込みが続き、割れたところにはカサブタのように太平洋プレートができる。
…といった「風が吹けば桶屋が儲かる」式のメカニズムを考えてみたが、どうか。
「反大陸」とはつまり、薄い海洋地殻とそれにより海が減って生じる大陸の部分ということに、むしろ、なるのだろう。
JRF2024/8/258204
……。
テレーンに残る痕跡から2億5000万年前ぐらいには…、
>「失なわれたパシフィカ大陸」<(p.76)
…があったという説が、先に紹介したスタンフォード大学のヌル教授らによって唱えられたことがあった。1977年の論文である。
しかし、巨大海台は玄武岩質であることがわかり、大陸であったという説は否定されているようだ。
テレーンに残る痕跡を現代の技術で辿っていくと、パシフィカ大陸とされた巨大海台群があったらしき場所は、約1億9200万年前に太平洋プレートが誕生したあたりになるようだ。
JRF2024/8/250543
>太平洋プレートの誕生、巨大海台の噴火、イースター島の火山活動、と1億7000万年以上も断続的にマグマ活動が続いているのです。そう考えると、地球深部からの物質の湧き上がりが南太平洋の下で起きているとするパボーニ博士の主張には、説得力が感じられます。<(p.80-81)
JRF2024/8/258427
沈み込みにより地球が収縮しているというのと、火山活動が活発であるというのは矛盾しない。なぜなら、膨張によって発散されるべきエネルギーが、収縮が「慣性」的に続くことで発散されないことで、そのエネルギーが代わりの出口を求めて、火山活動になっているという考え方もできるからだ。
膨張はガスが爆発せずにいることに相当し、火山活動はガスが小刻みに爆発していることに相当しよう。
JRF2024/8/254090
もちろん、どちらか一方の活動がはじまれば、一方がやむという性質のものではなく、混在しながら、どちらが強いか…強いのが周期的に変わっていくか…という関係であるのだろう。
ただ、Gemini さんによると、むしろ収縮時より膨張時のほうが火山活動が活発になるとの予想だった。
JRF2024/8/255488
……。
>大陸地殻と海洋地殻は岩石の種類が違うだけでなく、形成年代も大きく異なります。海洋地殻をつくる岩石はすべて若く、1憶8000万年前以降につくられたものばかりです。ところが、大陸地殻をつくる岩石の多くは数億年前よりも古く、40億年前につくられたものも見つかっています。<(p.89)
前の本で、古い岩石が、大陸地殻のものであることが前提となっていたことに少し不思議に思っていたが、こういうことだったのか。もしかしたら書いていたのかもしれないが読めてなかった。orz
JRF2024/8/252447
海洋地殻が1億8000年前までのものでしかないというのも驚きだ。そんなに新しい…ということは入れ換わりが激しいということだろう。海洋地殻全体がカサブタのようなものなのかもしれない。
JRF2024/8/250757
……。
>じつは月にも大陸と海洋底があるのです。
「月の海」という用語を聞いたことがあるでしょうか。もちろん月には海水はないのですが、標高が低くて玄武岩で覆われている平らな部分があり、その地域が月の海とよばれています。満月のとき、うす暗く見える部分が月の海であり、その模様がウサギの姿形に似ているため、月ではウサギが餅をついているといわれてきました。一方、月の高地は斜長岩という白い岩石からできており、これが月の大陸を形成しています。<(p.89-90)
JRF2024/8/259011
月にも大陸地殻があるのが意外。
あまり関係ないが、直近で↓というニュースがあった。
《インドの月面探査機が太古の月は「マグマの海」だったことを示す痕跡を発見 - GIGAZINE》
https://gigazine.net/news/20240823-moon-magma-ocean/
>南極付近23カ所のレゴリスを分析したところ、付近一帯の元素組成は比較的均一で、すべてのサンプルに鉄に富んだ斜長岩が含まれていることがわかりました。
(…)
地理的に離れた地点で採取されたサンプルの化学組成が似ているということは、月がマグマオーシャンに覆われていたという説を裏付けるものです。
<
JRF2024/8/258736
……。
>下部地殻の沈積岩の中にはざくろ石を多く含むものが生じ、それらはマントルの岩石より重いため落ちていく、というわけです。このプロセスを「デラミネーション」といいます。
デラミネーションは、リソスフィアのマントル部分と下部地殻の下部がアセノスフェアへ落ち込む、というモデルです。
<(p.144)
そういうことは起きにくいので、逆に、沈み込みの影響がマントルの温度に影響を与えるほど大きいということはない。…という示唆があるのだろうか…。
JRF2024/8/256422
……。
>約30億年前から現在にいたるまで、大陸の体積はほぼ一定の割合で増加していることがわかります。これは大陸の成長史を知るうえでの基本データであり、現在も世界中の研究者らに引用されています。<(p.149)
前の本を読んだときに次のように書いた。
JRF2024/8/255358
[cocolog:95005765](2024年8月17日)
>「新しい大陸地殻が形成される」…と書いたが、ただ、大陸が一方的に増大してきたわけではないように思う。この本では、どうも大陸地殻の岩石は軽いため、マントルの下に沈んでもいずれ浮かんでくる、だから大陸地殻は減らない的なことを想定しているように感じる。しかし、そうであれば、現在ではすべてが大陸地殻になっていそうなものだが、そうなっていない。そうなってないというのは、大陸地殻を広範に破壊するような動きもあるとはずだが、それは何なのか?<
JRF2024/8/252162
どうも一方的に増大してきた…ということのようだ。
ただし、「減らなかった」というわけでもないらしい。
大陸の成長速度は太古代と原生代以降とで違うが…
JRF2024/8/258374
>それは、大陸の成長速度は太古代でも原生代以降も変わらないが、大陸の消滅速度が原生代以降に増大したというものです。大陸地殻は沈み込み帯で発生したマグマが地殻へ付け加わることで成長しますが、下部地殻の一部はデラミネーションにより削られてしまいます。削られた欠片は、沈み込む海洋プレートとともにマントル中へ消えていきます。原生代以降はプレートテクトニクスによる沈み込み運動が確立し、多量の大陸地殻をマントルへ引きずり込むようになった、という考えです。<(p.150)
マントルへの地殻の落ち込みも相当あるとしてよいようだ。
JRF2024/8/259136
……。
>コンディ教授は、超大陸がある時期とない時期で大陸の成長速度には大きな違いがあった、と考えました。超大陸が形成されるとプレートの沈み込み運動が活発化し、結果としてマグマの生成も盛んになり、大陸が急成長したということです。そうだとすれば、大陸は段階的に成長してきたはずです。<(p.152)
超大陸が成立する時期には海底が深くなって水位が下がり陸地が増える…と私は考えた。それとの関連はどうか。また、前の本を読んだときは、超大陸が分裂して地球が収縮しだすと、海洋底を陸孤の火山が食う形で、大陸が増えていくと考えた。
JRF2024/8/250085
>実は、テイラー教授やコンディ教授の太古代や原生代の一時期に大陸が急成長したという考えは、同位体を専門とする他の研究者らが1970〜1990年代に報告した Nd 同位体データの解釈をもとにしています。(…)私自身もこれらの論文を読んでみましたが、太古代や原生代の一時期に大陸が急成長したことを示す明確なデータといはいえない、と感じました。「そうかもしれないけど、そうでないかもしれない」というのが正直な感想です。<(p.153)
著者の見解は…
JRF2024/8/253487
>大陸の成長史を知るうえで、図4-8A に示した Hf 同位体比と U-Pb 年代の組み合わせは、現時点で最も信頼性の高いデータと考えられています。図4-8A を見る限り、約33億年前と19億年前に多くの大陸地殻が形成したと考えてよさそうです。<(p.161)
私は大陸地殻は徐々につまり一定の速度で形成されたとむしろ考えてきたので、はっきりとした形成期が(2つ)あるというのは意外だ。
JRF2024/8/253858
>私自身は、図4-8A のデータは約33億年前と19億年前に大陸が急成長したことを強く支持すると考えましたが、「そうではないのでは?」と疑問を投げかける研究者もいるようです。恐らく、今後も数多くの良質な Nd や Hf 同位体比が報告され、少しずつ大陸成長に関する見解が統一されていくでしょう。<(p.162)
JRF2024/8/258042
……。
ジーランディアの…
>ロードハウ海台の 208孔や、その付近から採取した示相化石を調べたところ、約4000万年前は浅い海であったことがわかりました。そして現在は、深海とまではいきませんが、水深3000m程度の比較的深い海となっています。つまり、4000万年かけてロードハウ海台は沈降したということです。なお、細かい説明となりますが、最も沈降したのは 2000万年前でした。このときジーランディアはほぼ 100%水没し、その後隆起してきているようです。<(p.179-180)
おおー。「大陸」が沈むこともあれば、なんと、浮上することもある!…と。
JRF2024/8/253636
……。
>軽い(密度の低い)大陸地殻が海底へ沈むためには、薄く引き伸ばされる必要があります。ロードハウ海台は、ゴンドワナ大陸の一部であったときには、通常の大陸地殻と同じ 35〜40km の厚さであったのが、大陸の分裂の際に横に引っぱられて薄く引き伸ばされたのかもしれません。実際、現在のロードハウ海台の厚さは通常の大陸地殻よりも薄く、約20km と推定されています。そのため、第3章で解説したアイソスタシーに従うと、海底に沈んでしまいます(…)。大陸地殻の引き伸ばしのように、プレート運動に伴って地殻が沈むことを「テクトニックな沈降」と呼びます。<(p.187)
JRF2024/8/257656
地殻が引き伸ばされて薄くなることもある…と。
JRF2024/8/254778
……。
アトランティス大陸の沈没もやはり海底にその時代(1万2000年前)の証拠がないのであるが…、
JRF2024/8/251969
>プラトンの書いたアトランティス大陸伝説は、大西洋で起きたことではなく、地中海のギリシャ沖に浮かぶ「サントリーニ島」の大噴火の言い伝えであろうという意見があります。
(…)
紀元前1600年頃(約3600年前)の大噴火(…)。この大噴火は「ミノア噴火」とよばれ、噴出したマグマの量は 78〜86 km^3 にもなったと見積もられています。(…)比較のために、(…)日本で最も活発な火山の一つである桜島が過去数万年で噴出したマグマの体積を合計すると約40km^3 になります。
<(p.191-192)
JRF2024/8/251936
人類史以前には、さらに大きな噴火があったらしい。図6-1 にはミノア噴火の1000倍以上の規模の噴火などが示されている。
JRF2024/8/251600
……。
>火山噴火によって大気中へ大量の SO2 が放出されると、急激な寒冷化を引き起こします。(…)寒冷化は噴火から数ヵ月の間に始まりますが、長くても2~3年で終了します。しかし、火山ガスの影響はそれでは終わりません。
火山噴火により大気中に CO2 が放出されると、その温室効果により温暖化が起こります。SO2 の放出による寒冷化と違い、CO2 の放出による温暖化はゆっくりと進み、長い間継続します。
<(p.203)
JRF2024/8/253187
20世紀後半になるまで、CO2 の温暖化効果は無視できた。そこがどうも引っかかる。むしろ太陽光発電が出てきた 80年代からのほうが温暖化している。そこで↓のようなことを言った。
JRF2024/8/252877
[cocolog:94992912](2024年8月)
>太陽光発電問題。太陽光発電は石油が枯渇してもやっていけるという自信を経済に与えた。だから世界経済の大幅な成長にアクセルを踏めた。それがエネルギー消費増、気温増につながった。…という仮説<
…しかし、それだけでなく、アルベドの問題がかなり大きいのではないかと思うようになった。この問題は後述する。
JRF2024/8/254389
火山の長期的効果も、CO2 は副次的で、本質は火山灰によるアルベドの変化なのではないのだろうか?
Gemini さんによると、火山灰のアルベドはむしろ高く、低いのは溶岩のほうだろう…とのことだった。
JRF2024/8/259582
……。
>シベリア・トラップをつくったマグマ活動は、地球内部からの巨大な上昇流によると、考えられています。このような上昇流は長い地球の歴史において、大陸移動の原動力となってきました。<(p.207)
大陸移動のエネルギーが移動に使われないと火山になる…みたいな考え方を私は上でしたが、(不純物が多い)水の沸騰時の泡の発生のように突発的な上昇流というのは、それと関係なくありうるのかもしれない…とも思う。
JRF2024/8/252280
……。
恐竜が絶滅した白亜紀の終りの隕石衝突は有名だが、そのとき…、
>衝突地点の岩石は粉々に砕かれて宇宙空間まで吹き飛ばされ、地表には直径 160km ものクレーター(チチュルブ・クレーター)がつくられました。宇宙空間へ飛ばされた岩石の破片は、地球の広範囲に落ちてきました。するとその衝撃で大気や地表が加熱され、地表の温度は 200℃を超えたと考えられています。これにより、多くの動植物は死滅したことでしょう。<(p.216)
JRF2024/8/253834
前の本では、気温は 100℃を超えたことはないとのことだったが、一時的にはそういうことがあったということか。それとも 200℃ はさすがに局所的な話なのだろうか?
JRF2024/8/254964
……。
……。
本は以上。
さて、ここから本を離れてプレートテクトニクスについて考える。これまでの私の考えを総合すると…、
陸地が詰まるなどして地殻の沈み込みが無くなる→マントル温度上昇→地球の膨張→海底地殻が薄くつまり海が深くなり陸が多くなる→地球の表面積が増え、植物がない場合はアルベドが増える→寒冷化→陸が冷えやすくなり沈み込みがはじまる→マントル温度下降→地球の収縮→海が浅くなり陸地が減る→アルベドが減る→温暖化→マントル温度上昇…
…という「風が吹けば桶屋が儲かる」式の安定化メカニズムが考えられる。
JRF2024/8/253868
これを超大陸の成立に合わせるなら、植物の存在を考える必要がある。それはアルベドが増えるという部分がなくなるというところに本質がある。すると…、
陸地が詰まるなどして地殻の沈み込みが無くなる→マントル温度上昇→地球の膨張→海底地殻が薄くつまり海が深くなり陸が多くなる→しかし植物のせいでアルベドが増えない→しかし地球の膨脹で軽い大陸が一箇所に集まることで、大陸付近の海洋地殻が冷えて重くなり、沈み込みがはじまる→マントル温度下降→地球の収縮→海が浅くなり陸地が減る→地球が収縮しきって沈み込みが止まる→マントル温度上昇…
…と考える。
JRF2024/8/251661
金星のような水のない岩石惑星の場合を考える。この場合、安定化メカニズムを金星に合わせるなら、海がなくなるので、金星の表面積が増え、途中寒冷化ではなく、温暖化を導くようになるだろう。すると…、
地殻の沈み込みが無くなる→マントル温度上昇→岩石惑星の膨張→地殻が薄くなり陸が多くなる→惑星の表面積が増える→温暖化→膨張しきったところでしばらく安定するが大気に触れていることで地殻が冷え重くなり、やがて、地殻が自重により沈んでいく。→惑星の収縮→その作用も止まり地殻の沈み込みが無くなる。→マントル温度上昇…
…と考える。ここでは↓を参考にした。
JRF2024/8/251224
《Venus Climate Orbiter "Akatsuki": 金星の科学》
https://www.stp.isas.jaxa.jp/venus/article/venus_sci/sci_channel.htm
JRF2024/8/251406
>金星のほとんどの地表面の年代が3億〜5億年より若いことは,「大規模一斉更新説」によって説明される。およそ3億〜5億年前にグローバルな火成活動,構造運動が起こり,地表が更新されたという説で,その要因には最大約70kmという金星の厚い1枚板のリソスフェア(硬いプレート)が密接に関連していると思われる。安定した厚いリソスフェアが惑星内部の温度を上昇させる,あるいはリソスフェアが定常的に沈み込まないために厚くなり続けてあるとき,一挙にマントル(プレート以深の岩盤)中に沈み込むことで,激しいマントル対流を生むのではないかと考えられている。<
JRF2024/8/258909
スノーボールアースからの回復について。なんらかの理由で寒冷化が起きたとしよう。そこからはじめる。すると…、
寒冷化(スノーボールアース)→陸が冷えて沈み込みがはじまる→マントル温度下降→地球の収縮→海が浅くなり陸地が減る→アルベドが減る→温暖化…
または、
寒冷化(スノーボールアース)→陸が冷えて沈み込みがはじまる→マントル温度下降→地球の収縮→海が浅くなり陸地が減る→地球が収縮しきって沈み込みが止まる→マントル温度上昇→火山活動が活発になりアルベドが減り気温上昇…
…などと考える。
JRF2024/8/255384
また、スノーボールアースの回復には、火山灰や溶岩などによるアルベド減もあっただろう。Gemini さんによると、生物相もアルベド減に寄与しうるということだった。
また、Gemini さんはスノーボールアースからの回復は、メタンハイドレートの影響をどうも重視するようだ。
JRF2024/8/252560
……。
以上の仮説で、私が言いたいことの一つは、大気の温室効果は本質的でないかもしれない…ということだ。むしろアルベドが気候変動の主因ではないか…ということ。大気の温室効果を考慮しなくても、アルベドを考慮すればいろいろ説明できてしまうから。
JRF2024/8/251505
実際、横山祐典『地球46億年 気候大変動』([cocolog:94997784](2024年8月))で、初期気候理論として、スヴァンテ・アレニウスの説を紹介しているが、そこではアレニウスはどうも最初はアルベドに着目していたらしい。それがなぜか CO2 と気候との関係に話が発展するのだが、そのつながりがどうもその本からはわからない。
むしろ、アルベドによる気温上昇を観測するのに CO2 の値を用いようとした。CO2 は原因ではなく気温上昇の結果である。…と解釈すると、キレイにつながる。
JRF2024/8/257197
元はそもそもアルベドが問題というのが、一般的直感でもあるのではないか。
CO2やメタンといった温室効果ガスは保温効果ガスといったほうがいいのではないか。アルベドなどによる気温上昇などの結果を保持するものにすぎないから。火星などの気温が CO2 が多いのにそこまで気温が高くないことからも、保温効果ガスという言い方が適切に思われる点だ。
JRF2024/8/255567
……。
前の本を元に、[cocolog:95013634](2024年8月)で、コメつまり水田のメタン放出が、温暖化の問題になっていることを書いた。
しかし、水田は畑よりメタンを多く出すかもしれないが、アルベドに関しては水田のほうが高いと思われる。
しかし、それでもミランコビッチ・サイクルから導けるような寒冷化にならず温暖化の方向に行ったのは、水田よりも森のほうがアルベドが実質的に高いのだろう。
JRF2024/8/257168
森は立体的に乱反射し、「非熱吸収」するため、アルベドが実質的に高い。さらに木の葉は日照が強いとアルベドが高いようになっているのではないか?
Gemini さんによるとさらに水田より森のほうが、蒸散量が多いため雲ができやすく雲のアルベドが高い…らしい。
JRF2024/8/253001
……。
アルベドが問題なら、温暖化対策。単に道路を白く塗るだけで効果が高いのではないか…と思った。
ただ、散歩中に見ると、アスファルトは結構白い。アスファルトは、古くなって白化していれば、森のように乱反射もして、アルベドも高いのでは?
Gemini さんに聞くと「高反射率舗装」という技術がすでにあるらしい。
Twitter (X) では、アスファルトの照り返しがヒドイという話も読んだ。照り返しという点では草地や土のほうがマシだという意見も見る。草地や土のほうが蒸散量が多いため、「輻射熱」が少ないというのはあるのかもしれない。「輻射熱」こそが問題なのか?
JRF2024/8/259265
アスファルトを白く塗る場合、下の地層から水を吸っての蒸散は難しくなることから、暑さはよりヒドくなるのかもしれない。単純に白く塗るのではなく「高反射率舗装」にするのはそのあたりの考慮もあるのだろう。
JRF2024/8/252830
……。
Twitter (X) でこのアルベド関連についてつぶやいていたら、「大気中の二酸化炭素増加による温室効果の増強が温暖化の原因であると言う事に疑問を持ち、反対の活動をしている」フッソ(@hfusso)さんに、「放射強制力」という言葉と IPCC 第5次評価報告のグラフを教てもらった。
《JRF:X:2024-08-24》
https://x.com/jion_rockford/status/1827184693898572147
JRF2024/8/250063
それによると、土地利用によるアルベド変化は、放射強制力にマイナスで、それはつまり、森林伐採する方が、温暖化を抑制するのに寄与していると読むべきらしい。二酸化炭素やメタンは、放射強制力で大きなプラスなのに。
《IPCC第5次評価報告書(AR5) - 気象庁 Japan Meteorological Agency》
https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/ipcc/ar5/index.html
なお、↑をザッと読んだところでは、アルベドについてはそれほどちゃんと調べられてないという印象を持った。
JRF2024/8/259753
……。
なお、付言しておくと、私はポジションとして太陽光発電悪玉論に立つことが多いが、太陽光発電自体がまったくダメとは思っていない。何より、エネルギー安全保障上かなり有利だから。
しかし、木のように構造を持たせて立体乱反射し、日照が強いときにアルベドを高めるような工夫するなど、何かできることがあるのではないかと思う。
JRF2024/8/251528
……。
……。
追記。
私の説は、単にアルベド主因というよりは、アルベド(+蒸散)主因説と言ったほうがいいかもしれない。
おそらく蒸散後もそれが雲を形成してアルベドが高くならなければ、温度を下げる効果がない…というのがアレニウスの示唆だったのだろう。
JRF2024/8/260937
……。
それを踏まえてと言えるかもしれないが、初期地球について「暗い太陽のパラドクス」をどう考えるか。
これもやはりアルベドで説明できるのではないか。全休が海でアルベドが低く、さらに、雲がなぜかずっと黒くアルベドが低かったのではないか、ずっと雨が降ってるイメージ。それで、大地の熱が逃げなかったのだろう。
似た説はすでにあるようだ。
JRF2024/8/265426
《暗い太陽のパラドックス - Wikipedia》
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9A%97%E3%81%84%E5%A4%AA%E9%99%BD%E3%81%AE%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%89%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9
>アルベドと雲生成率の違い
JRF2024/8/269518
太古代の堆積物の調査からは、過去の大気中には現在よりも温室効果ガスが濃集していたという仮説とは一致しない結果が得られている。この時期の温暖な温度範囲はむしろ、大陸の面積が少ないことと、生物学的に生成される雲凝結核が欠乏していたことによって、地球のアルベドが低かったことで説明できる可能性がある。この場合は地球が吸収できる太陽エネルギーの量が増加するため、過去の太陽の出力が弱いことを補うことが出来る[29]。
<
JRF2024/8/260167
私の説はブラック・クラウド・アースとでも表現できようか。
JRF2024/8/267243
この説を Gemini さんに聞くと、雲が黒かった理由だと思うが、「初期地球では、生物活動による雲凝結核が少なく、雲の粒径が大きかったため、アルベドが低かった可能性があります。」とのこと。
JRF2024/8/263677
typo 「失んわれたムー大陸」→「失なわれたムー大陸」。
JRF2024/8/293255
『海に沈んだ大陸の謎 - 最新科学が解き明かす激動の地球史』(佐野 貴司 著, 講談社ブルーバックス B2021, 2017年7月)
https://www.amazon.co.jp/dp/4065020212
https://7net.omni7.jp/detail/1106783464
JRF2024/8/253345