cocolog:95444432
縁故主義経済シミュレーション その2 を作った。Gemini 2.5 Flash (with Canvas) さんと共に、決められた成長率の中で、経済をよくしようとすると少子化が避けられなかったことをシミュレーションでだいたい示した。 (JRF 6716)
JRF 2025年5月14日 (水)
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前回([cocolog:95440214])では↓のようなシミュレーションをした。
《nepotism_economy.ipynb - 縁故主義経済シミュレーション - GitHub Gist》
https://gist.github.com/JRF-2018/409d9c3e7b1b36388ae9b5f8b76fb21b
>縁故主義(ネポティズムとかクローニー・キャピタリズムとか)よりそうでない非縁故主義のほうが投資ボリュームが増えるというのを経済モデルまたはシミュレーションで示せないかと考えた。
JRF2025/5/148166
縁故主義だと、商店のリスクがまるわかりのため小さいリスクで投資を引き上げる。縁故主義でないと、わりとリスクがあっても投資が続く。これが広がると、縁故主義でないほう が経済も大きくなって機会も増え、投資ボリュームが増えてもやっていける。…みたいなことが起きると考えた。
(…)
結論としては、投資環境が良いときは非縁故主義が勝つことが示せた。逆に言えば投資環境が普通以下の場合は、縁故主義が勝ってしまって、もともと私が示したかったようにはいかなかった。
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JRF2025/5/141247
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前回のシミュレーションは不服だった。非縁故主義経済はもっと縁故主義経済より有利なはずだ。縁故主義に不正があるとかそういうこととは関係がなく。 そのためには、経済において、リスク許容度を上げれば、乗数効果みたいなもので、経済自体が大きくなることを示したかった。これは意図した投資に対し、実際実現する投資の額が大きいということである。
JRF2025/5/148080
縁故主義経済では意図した投資が少なくなるということだろうか? しかし、超安全資産(現金)みたいなものを考えて、そこに縁故主義経済が投資を集中させるとしても、あまり意味ある結果は出せなかった。
JRF2025/5/141808
逆に考えよう。意図した投資総量は縁故主義も非縁故主義も変わらないとどうもせざるを得ない。それで次期に向けて実現した投資が逆に一定とする。するとリスク許容度によって、だいたい経済の良さ(前回の PROFIT_RISK_MAG)が変化するだろう。例えば縁故主義的にリスク許容度を下げると、経済を良くしなければ目的とする次期投資総額が実現しない…などと言えるなら、「リスク許容度を上げれば、乗数効果みたいなもので、経済自体が大きくなる」(の逆)が言えたことになるのではないか。
ここから敷衍して、前回の実験1のプログラムについて考えた。
JRF2025/5/149253
まず実験1の補足から。商店のリスクがわからないという部分を確率的に表現しても、結局のところ、単純に縁故主義だとリスク許容度が小さく、非縁故主義だとリスク許容度が大きいというプログラムにするしかなく、リスクがわからないという確率部分は結果をぼやけさせる効果しかない(はず)。そこで前回の実験1のように割り切って、経済がどのように大きくなるかを見たことになる。
JRF2025/5/144330
この実験1のとき期首投資総額 I0 (= total_capital) と 期末投資総額 I1 = r I0 (次期の total_capital) が決まっているとき許容リスク q (= SAFE_THRESHOLD) について、m (= PROFIT_RISK_MAG) が決まるとき、m を q r I0 の数式で表す、または、プログラムで図示できないか…。そう Gemini さんに尋ねたところ、数式で表すのは難しいが図示することはできると回答を得た。
JRF2025/5/149187
その上で、こう表したとき、少子化を実現するため r を小さく制限したのではないか(制限を国際的に強制されたのではないか)という疑いを私は抱いた。このとき q が小さくなり、子を生めるような環境の企業体が減ったことを示せると考えた。ある種の陰謀論である。
結果を見ると、だいたいそのようなことは示せたが、Gemini さんは「陰謀論」をやんわり否定し、r が決まっているというよりも大きな r (成長率)を目指す中であくまでそういうこともあるかもしれない…ぐらいのトーンしか受け容れてもらえなかった。
JRF2025/5/147125
それはそれとして、もう少し結論を詳しく書くと、成長率を一定として q と m の変化を見ると、それは緩やかな山を作る。例えば、成長率の低い場合の山を見るとき、山の左側を見ると、より少ない q のほうが、より景気の良い状態(m の小さい状態)を実現できることになる。これを目指したのが例えば、失なわれたウン十年の日本であり、少ない q を目指す安定指向が少子化を加速したと考えられる。逆に山の右側を見ると、より q が大きく、より景気の良い状態を目指せたと見ることができる。こちらは途上国モデルに相当するのかもしれない。…と私は解釈した。
JRF2025/5/147902
Gemini さんとの会話は↓である。ただ、現状では Canvas 部分については完全には共有されないようだ。
https://g.co/gemini/share/9095227ddf82
JRF2025/5/149154
今回のプログラムは、パラメータ以外はほぼ Gemini 2.5 Flash (with Canvas) さんの書いたものである。ただし、実験1に相当する部分が含まれているので、まったく私の創作部分がないということもない。
JRF2025/5/144135
このプログラムでは等高線を使って図示がなされる。私は r を固定して q と m の変化を見たかったのだが、そのためには PyStan のようなもので m を求める必要があるのかとか悩んでいた。しかし Gemini さんはシミュレーション結果から単に等高線を描くプログラムを描いていてきた。これまで自分の実験で「等高線」を使ったことがほぼなかった私は、それに何の意味があるのか…と思っていたのだが、出てきたグラフを解釈するうちに、それは私が欲しかった r を固定して q と m の変化を見るものそのものであることを理解できた。この Gemini さんの提案はありがたかった。
JRF2025/5/145894
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蛇足だが…。
今回私がやった実験のような、仮説を立ててそれが正しいかシミュレーション(やすでにある統計などの調査)で検証するという過程による「強化学習」は現在の AI の学習でも可能と思われる。そのようなことはすでになされているのであろう。
JRF2025/5/145459
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追記。
Gemini さんとの会話。r を固定して q から m を求めるのに PyStan が使えないか…という話が気になったので聞いてみた。Gemini さんによれば「基本的には使えない」ということだった。そのことについて、上のリンクで示した会話の続きが読める会話を↓に示しておく。
https://g.co/gemini/share/e3f466943e5a
JRF2025/5/149156
《nepotism_economy_2.ipynb - 縁故主義経済シミュレーション その2 - GitHub Gist》
https://gist.github.com/JRF-2018/767e30716d1342a2085b140fea2cdece
プログラムのライセンスについて前回([cocolog:95440214])と同じ。
JRF2025/5/147043