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ミルグラムの手紙の実験の解釈がおかしい。AI さん達に手伝ってもらって自分でモデルを作って考えた。その実験だけでは通常言われるような「世界中の誰とでも、たった6人介せば繋がれる」みたいなことは言えないと言える。 (JRF 8294)

JRF 2025年7月14日 (月)

『社会物理学』という本を読んでいて、そこにミルグラムによる手紙の実験が載っていた。[wikipedia:スモール・ワールド現象]を最初に示した実験として有名なのだが、私はその記述に引っかかりを覚えた。

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『社会物理学 - モデルでひもとく社会の構造とダイナミクス』(小田垣 孝 & 佐野 幸恵 & 山崎 義弘 & 山本 健 著, 共立出版, 2022年10月)
https://www.amazon.co.jp/dp/4320036190
https://7net.omni7.jp/detail/1107343539

JRF2025/7/142865

>例えば、S. ミルグラムは、「世の中は狭いね」という世界的に共通の認識となっている現象を、実際の実験で確かめた。ミルグラムは、カンザス州 Wichita とネブラスカ州 Omaha の住人からランダムに選んだ 296人に、図1.3(a) のような手紙を出し、その手紙に自分の名前を書き込んで、ボストン在住の特定の人に送るように依頼した。その際、もしその人を知っていれば直接送り、その人を直接知らない場合は、その人を知っていそうな人に送り、同様の転送を依頼することを頼んだ。

JRF2025/7/143003

目的の人に到着した手紙に書かれた名前の数からその手紙が何人を経て到着したのかを知ることができる。ネブラスカ州を起点とした手紙で実際にボストンの目的地に到着した 44 通の手紙について調べたところ、途中に通過した人の数は、図1.3(b) のような分布を示し、その平均値は 5.4 人であった。カンザス州を起点とする手紙を合わすとボストンの目的地に到達した手紙は 64 通であり、通過した人の数の平均値は 5.2 人であった。

JRF2025/7/143672

つまり世の中の 2 人は平均 5.2 人の人を介してつながっていることが示され、出発点から到着点までの移動のステップ数は、6.2 であるという構造が明らかになった。この構造は、「6 次の隔たり」(siz degrees of separation) とよばれている。現在そのような構造は“平均経路長(mean-shortest path length)が短い”というスモールワールド(small-world)の 1 つの特徴と考えられている(付録 C 参照)。

JRF2025/7/141275

またこの実験で得られたステップ数 6.2 は、マルコーニが 1909 年に電信網で文明圏をつなぐのに必要な中継局の数として推定した 6.2 (マルコーニ数とよばれる)と対比することができる。
<(p.5)

JRF2025/7/147337

>図1.3(a)

情報伝達研究プロジェクト (ハーバード大学 エマソン館322 ケンブリッジ)

JRF2025/7/140445

現在、ハーバード大学では、アメリカにおける人々の間のつながりの特徴を明らかにする研究を行っています。この研究に是非皆様のご協力をお願いします。あなたは、他のアメリカ市民(どんな地位の人でも)と連絡をとることができますか? 一人のアメリカ市民をでたらめに選んだとき、あなたは、知人や友人のみを介して、その人と連絡できますか? 私たちの開かれた社会は、どれだけ開かれているのでしょうか? この研究の核心は、これらの問に答えることです。そのために皆様のご協力を頂きたいのです。

*********以下略*********

JRF2025/7/140704

Stanley Milgram, Ph. D.
研究プロジェクト代表者
<(p.6)

JRF2025/7/145141

しかし、この実験、届かなかったものがあるということは、もっと距離が本来かかるはずだったのが計算されてないだけという可能性があり、モヤモヤする。そこで、私なりのモデルを作って考えてみることにした。

その経過を「グローバル共有メモ」や Twitter (X) に書いたのでそれをコピペする。

JRF2025/7/144358

……。

○ 2025-07-12T10:08:36Z

ミルグラムの手紙の実験の解釈がおかしい。Gemini さんに私のモデルで解いてもらった。手紙が残っている者の r 倍だけ次の人に転送するとすると、連鎖の長さは平均 1/(1-r) になる。転送が途切れたステージから q 倍だけ直接手紙が帰ってきて観測できるとすると、観測される連鎖の平均の長さは q/(1-r) になる。これがミルグラムの手紙の実験の場合 6 ぐらいになるという解釈をする。そのような r と q のあてはめは可能である。

JRF2025/7/146873

ここから、いつまでたっても到達しない者がいても平均値が出てくることが予想され、決して、ミルグラムの手紙の実験でいわれるような「世界中の誰とでも、たった6人介せば繋がれる」みたいなことは言えないと言える。

JRF2025/7/142218

……。

○ 2025-07-12T22:40:05Z

ミルグラムの手紙の実験。平均連鎖長 L = q/(1-r) というモデル。q < 0.1、L > 1 とすると r > 0.9 となるのは、ほとんどの手紙が転送されるというので直感に合わない。q のモデルを変えてもう少し落ち着いた r の値にならないか? 観測されるのが q ** i にするとか。

ただ、Gemini さんによると、そのようにモデル化すると、むしろ、現実的な r が得られなくなるという。

JRF2025/7/144940

すると逆に考えよう。L が何人かを超えれば、r の値は 90% や 95%以上にすることができる。すると、「世界中の誰とでも、たったL人介せば繋がれる」は「世界中の誰とでも、たったL人介していたならほぼ(r = 90%、95%で)繋っている」とすると解釈するのだ。すると、L は 90% の場合 9 人、95% の場合 19人となる。つまり、6人とはならない orz。

JRF2025/7/145649

もう少し考えてみる。観測される確率が q ** i のように減るのではなく、むしろ増えると考えてみてはどうだろう? 例えば、より手紙が多人数に広まる…とか?

しかし、Gemini さんによるとミルグラムの実験は1通だけ送るのでその仮定は無理らしい。しかし、1通返すだけだけれども噂によって情報だけが広まってその1通を返す確率が上がる…「多くの人にいきわたることで、より情報だけは広まり、成功確率(観測確率)は上がっていく」…というモデル化はしてもよいかもしれない。

JRF2025/7/143559

Gemini さんにそういうモデルを作ってもらうと、q = (1 - (1 q_0) ** i) とすればモデル化でき、すると q_0 = 0.1、L = 6 で r = 0.747 ぐらいの現実的な値が出るらしい。それでも r が高過ぎる気はするが、少しマシにはなったかな…。ちなみにこのモデルで平均到達率を計算するとミルグラムの実験に近い値になるそうだ。(Grok さんと Gemini さんで違う数値が出て、計算間違い(ハルシネーション)が示唆されるのだが orz。)

JRF2025/7/140879

……。

○ 2025-07-13T04:45:34Z

ミルグラムの手紙の実験。数式で Gemini 2.5 Pro (AI Studio 版) さんと Gemini 2.5 Flash さんと ChatGPT 4o さんでそれぞれ違い、争いになって、最終的に意外なことに Flash さんが「勝利」した。が、結局、私にはどれが正しいのかわからなかった。orz

JRF2025/7/143303

ちなみに「勝利」した数式は $L = \frac{1 - r^2(1-q_0)}{(1-r)(1-r(1-q_0))}$。

平均到達率は $P_{observed}= \frac{q_0}{1-r(1-q_0)}$。

JRF2025/7/146137

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