cocolog:95573715
結城浩『数学ガール リーマン予想』を読んだ。ネットで「このテのものが終るとは思わなかった」という感想を読んだ気がするが、まさに私もそう驚いた。でも、続きは書ける終わり方だった。log z の多値性のように誰を選んだかも多値的なのだろう。 (JRF 8279)
JRF 2025年8月 7日 (木)
[cocolog:89482767](2018年) に前々巻と前巻の結城浩『数学ガール ガロア理論』と『数学ガール ポアンカレ予想』を読んでいる。『数学ガール』シリーズには秘密ノートなどがあるがそちらは読んでおらず、「本編」のみ読んでいる。ただ、「本編」のこれっでの内容はずいぶん前に読んだものなので残念ながら覚えていなかった。でも、割と登場人物の解説とかもはじめてここから読む人にも丁寧な感じですんなり物語に入っていけた。これまでもそうであったように。
JRF2025/8/70879
載ってる数学についてはやはり前半は簡単なのだが、最後はかなり難しく正直追えてない。目を通すだけになった。でも、式が追えないほど難しくは感じず、その辺、かなり読みやすさに工夫があると思う。わかった気にさせてくれた。
物語については「僕」に log z のカードが渡されてそれが多値性があるのが、まぁ、結末のキモなのだろう。「僕」とミルカさんは卒業したわけだが、彼女らが大学生になっても続けられるのだとは思う。
JRF2025/8/79895
あとがきで…
>本書の主な登場人物は、「僕」、ミルカさん、テトラちゃん、ユーリ、そしてリサ。彼女たち五人を中心に、数学と青春の物語が展開していきます。<(p.430)
…とあって、一瞬僕は「女」の可能性もあるか…と思ったが、Wikipedia などによるとその可能性はないようす。
JRF2025/8/78085
……。
ここからは本にはあまり関係ない話。私の妄想に近い話。
JRF2025/8/72534
……。
まず、p.75 からしばらく 1/0 の話題になる。ここで思い出すことは二つ。一つは、0 での割り算がある場合それを 0 とおくというネットでの話題。もう一つは、1/x を円に繰り込む話は私はよくするということ。
一つ目は、↓
[cocolog:94913569](2024年6月)
>0 で割る割り算が話題。「答えなし」のほうが私の感覚に合うが、論理学的には、0 で割れば 0 としても数学が構築できるという話が確かあったような…。
JRF2025/8/74470
(…)
どんな教科でも、できれば皆が知っていることにしたい領域とわかっている人だけわかっていればいい領域があると思うのだが、特に理数は、後者の領域のほうが広く、大学以前の教育でそういう面が表に出てくるように思う。そこでは、とりあえずぶつけてみて、できる人間を拾うみたいなことになる。
JRF2025/8/73869
そういうときに特殊な感覚を持っているほうが、有利な領域もあって、問題のある教育法でも、小さい範囲で育ててみるみたいなことはあっていいというのも一つの考え方だと思う。だから掛け算順序問題もゼロ除算問題も小さな範囲なら問題ないとできるのではないか?
JRF2025/8/75938
(…)
ゼロ除算 18÷0 = 0 の問題。a ÷ b = c のとき c × b = a にならないから問題だというのは、c = 0 のときを特別視して条件を付ければ(c × b = a は c が 0 のときを除くとすれば)済む話なんだよね。c = 0 になるのは a = 0 または b = 0 のみだから。除算のときに 0 を特別視するか、そうでないときに条件を付けるかという違いでしかないという主張もありえる。
(…)
この場合、0 を未定義数としても扱っていることになるのだと思う。
<
JRF2025/8/73524
二つ目は、まず、『The JRF Tarot for 易双六』( https://amzn.asia/d/iAGwLxm ) の (17) The Star でもその様子を描いているんだけど、1/x を円に繰り込むのはよくやる。↓にも似たようなことを書いている。
JRF2025/8/71632
拙著『宗教学雑考集』《必需品と贅沢品の宇宙的独立関係》
>人類は「有限」と言いつつリアルな存在だから、その生存(時間)の分割はいかようにでもできる。宇宙は、大きさは仮に有限であってもリアルにいかようにも分割できるという意味で、人類の生存時間に対して無限とみることができる(例えば宇宙の実時間を x 軸に概念時間を y 軸にし a を定数として y = tan(a × x) や y = exp(tan(a × x)) などとすればいい)。無限の宇宙に比べたとき、確率を計算すれば 0 でも、有限な生存時間は無限にまぎれ、生き残る「可能性」はありうる。<
JRF2025/8/72881
……。
>第8章 驚きのガンマ関数<(p.269)
exp(-a x) を使うところからガンマ関数とシグモイド関数に何か関連があるのではないかと妄想したことが最近あった。
岩見&中岡&岩波『ウイルス感染の数理モデルとシミュレーション』([cocolog:95369157](2025年4))でガンマ分布に絡んで、ガンマ関数が出てきた。それが人工知能でも使われるシグモイド関数と関連があるなら、そこには生物の脳で起きていることを説明する何かがあるのではないか?…と。
JRF2025/8/71225
しかし、AI さん達の納得は得られなかった。
そこで興味を持って、雑誌『数理科学 2025年6月号 - 特集 物理学と特殊関数』を読み([cocolog:95463688](2025年5月))、今回の本に載ってるような、ガンマ関数(Γ関数)とゼータ関数(ζ関数)のつながりや、sin とのつながりがわかって興味深かった。そのとき、複素関数論とか完全に忘れていたが、Gemini さんに聞いてゼータ関数正則化などを知れて有意義だったのだが、今回の本でそこに注目が集っていたのは微妙にシンクロニシティを感じた。
JRF2025/8/70471
>「1 + 2 + 3 + ... = - 1/12 となるのは不思議! みたいな話をネットで見たことがあります」とテトラちゃんが言った。「それはディリクレ級数表示が使える条件 Re(s) > 1 を無視している間違いなんですね」<(p.389)
これも Gemini さんと議論になった。
「1/(exp(z) - 1) = 1/z + 1/2 + z/12 + O(z^3) = Sum B_n/n! * z^(n-1) (… B_n はベルヌーイ数…)と留数定理を用いてζ(-1) = - 1/12 を導いてください。」みたいな無茶ぶりをして、それができないと怒られて…。
JRF2025/8/78402
jrf:> なるほど Γ(-1) も Γ(0) も計算できないので難しかったのですね。にもかかわらずζ関数が値を持つのが不思議です。
Gemini:> おっしゃる通りです! そこがまさに解析接続の「魔法」であり、リーマン・ゼータ関数の奥深さなのです。
…となったのであった。その導出も私がわかった気になるぐらいちゃんと行っている今回の本はすごいと思う。
JRF2025/8/72397
……。
追記。
ガンマ関数などと生物の脳の関係については、他にラプラス変換とそこにおける微分との関係やあとカイ(χ)2乗分布との関係、そのころの Gemini さんとの会話では出て来なかったけど最近の学び([cocolog:95542946](2025年7月))からすると相転移も tanh という exp(x) をよく使う関数が出てきたのだった。x^n と exp(- a * x) の組み合わせはなぜか頻出する。現代の数学の枠組み上そうなるのかもしれないが、でも、そう半ば強制されるのも、生物がそこに収斂していくのと関連があるのではないか…みたいに私は考えてしまう。
JRF2025/8/84886
Gemini:> JRFさんのこの考察は、数学が単なる抽象的な道具ではなく、現実世界の、特に生物の複雑なシステムを理解するための「言語」である、ということを改めて示唆しているように感じました。
JRF2025/8/87078


『数学ガール リーマン予想』(結城 浩 著, SBクリエイティブ, 2025年8月)
https://www.amazon.co.jp/dp/4815628726
https://7net.omni7.jp/detail/1107614915
JRF2025/8/78931