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北村元『日本人には思いつかないイギリス人のユーモア』を読んだ。ジョーク集。「トニー・ブレアがまだ少年の頃、母親はトニーが成長して首相になるように祈っていた。今のところ、母の願いは半分かなえられた。」など。 (JRF 6290)
JRF 2025年10月 8日 (水)
……。
いつもは引用しながらコメントするのがこの「ひとこと」のスタイルなのだが、今回はただジョークを「引用」し羅列するだけになる。はっきりいって著作権法的にはグレーどころか完全なクロだろう。あえて私に有利な点は、元が収集されたジョークなため、著作権があいまいなことぐらい。
なので、古い本でもう買えないかもしれないが、一つでもおもしろいジョークがあれば、できれば買って、私の過ぎた「引用」が咎められないよう、応援していただけるとありがたい。
JRF2025/10/83422
なお、すべてのジョークを載せるわけではもちろんない。人によってどのジョークが気に入るかは違うもので、本を読めば必ずここにはないジョークで笑えること、うけあい。
あと、ここに載せてないジョークの中には私がジョークのポイントがわからなくて載せなかった本来おもしろいものもあるはずだ。そういうのを本のほうを読んで発見していただきたい。
あと、他のジョーク集(ユダヤ・ジョーク集など)に載っていたものはわざとこちらに載せなかった。
では、「引用」していく。
JRF2025/10/88737
……。
>行間を読むかぎり、新聞は依然信用出来る。<(p.17)
JRF2025/10/87180
……。
>大学を卒業したてのサイモンズが、ロンドンのピカデリー広場近くで道に迷った老婦人を見つけて、警察に連れていった。
巡査部長はいった。
「六ヵ月たって持ち主があらわれなければ、あなたのものです」
<(p.19)
JRF2025/10/87773
……。
スコットランド人はケチ、アイルランド人はバカ…というのがイギリス・ジョークのお約束事らしい。
>イングランドの奴らがまた嘘ついてるな、っていうのを知る方法を教えてやろう。それはな、奴らが唇を動かしているかどうかを見ればいいのさ<(p.32)
JRF2025/10/80046
……。
>ウェールズの、とある会社に来客があった。その来客、受付嬢を通して社長に面会を求めた。
すると、受付嬢、
「あいにく××社長は外出中ですが、『どうしても緊急な用事でしたらお目にかかる』と申しておりますが……」
<(p.41)
JRF2025/10/84614
……。
>のどが渇ききった一文なしのスコットランド人とウェールズ人が、グラスゴーで出くわした。文無しの二人は、なんとかラガーをただで飲めないものかと、考えていた。
「わしは、この近くのパブのママを知ってるんだ。そこのママは忘れっぽくてね……。会話に長く引きこんでおけば、われわれが支払いをしたかどうかも思い出せないくらいなんだ。とにかく、ちょっとためしてみようぜ」
JRF2025/10/87709
二人はパブに入り、スコットランド人は話の通り、一杯をまんまとただでやった。
ウェールズ人の番がきた。ラガーをジョッキに一杯たのんで、ウェールズでの生活や物価の話をはじめた。話の中にママを引きこんで、ラガーがジョッキをついた頃合をみはからって、彼はママにいった。
「さあて、これからウェールズに戻らなければならなくてね……。ところで、私へのおつりは……」
<(p.42-43)
JRF2025/10/82711
……。
>スコットランドのアバディーンで、毎日通勤にバスの後ろを自転車で走っているサラリーマンがいた。10ペンス(約20円)が節約出来るから、というのが彼の理由だった。それを聞いた友人が別の方法を勧めた。「なぜタクシーの後ろを走らないのか。そうすりゃ、4ポンド(約800円)節約出来るのに」と。<(p.45)
JRF2025/10/88820
……。
>真のスコットランド人とは、パジャマやワイシャツ、背広などをクリーニング屋に出す時、必ずポケットに靴下などをつめこんで出す人のことだ。<(p.46)
JRF2025/10/81897
……。
>イングランド出身の兵士とスコットランド出身の兵士とアイルランド出身の兵士が、地中海マルタ島の基地のクラブでビールを飲んでいた。
マルタ島がまだ英植民地の頃のこと。
それぞれのビールのジョッキの中にハエが入っていることに、三人とも気づいた。
イングランドの兵士はそのハエを指でつまみだした。
アイルランドの兵士は、そのハエをうまく吹きとばした。
スコットランドの兵士は、ハエを指でつまんだかと思うとギューッとビールを押しだした。
<(p.49)
JRF2025/10/82558
……。
>第二次大戦中ドイツの侵略を受けたアイルランドで、アイルランド兵がドイツ兵の捕虜となった。
「銃殺刑の前に何か希望することはないか」とドイツ兵が声をかけた。
一曲歌をうたいたいというので、ドイツ兵は許した。
アイルランド兵は、おはこの『塀の上にならぶ100万本の緑のビン』という歌を、ゆっくりと歌いはじめた。
一番の歌詞はこうだった。
「もしも緑のビンが一本下に落ちたなら、塀の上のビンは99万9999本になァるゥ……」
二番の歌詞は、「もしも緑のビンが二本落ちたなら……」
<(p.51)
JRF2025/10/87901
……。
>アイルランドで、水上飛行機に乗って一時間ほど飛んだだろうか。機長は、うっかりして、陸上の飛行場に着陸しようとしていた。われわれの水上飛行機には、車輪がついていないのだ。
「陸上には着陸出来ないぞ。オイ、何を考えているんだ!」といった後私は絶句してしまった。
機長はミスに気がついて、「オー、ノー」といいながら、ベテランらしい操作で再び上昇して、近くの港に着水した。
「やあ、心配をかけて悪かった。二度と過ちをしないように気をつけなくちゃ」といいながら、彼は飛行機のドアを開けて降りたので、そのまま海に沈んでいった。
<(p.52)
JRF2025/10/83434
……。
>アイルランドの首都ダブリンのバスの中で。
「恐れいります。地理不案内なもんで……。エルム通りはどこで降りたらいいか教えてくれませんか?」
「よろしいですとも。私の降りるところをよく注意してなさい。私の降りたところから二つ手前がエルム通りです」
<(p.54)
JRF2025/10/85496
……。
>あるアイルランドの囚人が鞭の刑を与えられた。「バシン! バシン!」と、さえた音がつたわる。
ところがこのアイルランドの囚人、痛くて仕方がないはずなのに、打たれれば打たれるほどますます笑う。
「バシン!」
「ワハハ……アッハッハハ」
とうとう鞭を打っている男が聞いた。
「何がそんなにおかしいのか?」
「ハッハッハッ……おかしいじゃないか……え? ……今朝からあんたはよ、わしをオトゥールと呼んで鞭の刑を与えてるけど、本当は俺はオトゥールじゃないんだ」
<(p.64)
JRF2025/10/88904
……。
>三回結婚して三回とも女房に死に別れた男が、四度目の結婚をした。
結婚式をあげた夜、花嫁は夫にたずねてみた。
花嫁「あなたの最初の奥さんは何で死んだのォ?」
夫「毒キノコを食べてさ」
花嫁「じゃあ二番目の奥さんは?」
夫「毒キノコを食べたもんでね」
花嫁「三番目の奥さんは?」
夫「頭蓋骨を割られて……ね」
花嫁「まあ、一体どうしてなの……」
夫「毒キノコを食べようとしなかったもんでね……」
<(p.66)
JRF2025/10/81268
……。
>「最後に何か願いたいことはあるかね」
処刑が準備万端に整い、電気椅子にすわっている男に司祭が聞いた。
「はい、ひとつだけあります、神父さん」
「そちらの願いとは……。いってごらんなさい」
「はい、遠慮なくいわせてもらいます。神父さん、私の手をしっかりと握っていて頂きたいのです」
<(p.73-74)
JRF2025/10/81862
……。
>アメリカのユーモア作家マーク・トゥエインは、ジョセフ・スミスの本を批評した。
「これは印刷された麻酔薬である。もし、ジョセフ・スミスがこの本を書いたのなら、その行為は奇跡というしかない。この本を書きながら、起きていられたなんて」
<(p.83-84)
JRF2025/10/89958
……。
>ここに小説家たちが共通に堕落していることを攻撃した読み人知らずの詩がある。
わが友よ、君の喜劇を読んでみたよ
君が見事に盗作した半分はたのしめる
だが、推敲しなければならないのは、残りの半分だ
友よ、勇気をだして残りも盗作したまえ
<(p.84)
JRF2025/10/83542
……。
これはジョークでなくて名言。
>チャーチル「どの社会にあっても、赤ん坊にミルクを飲ませるほどすばらしい投資はないのだ」<(p.94)
JRF2025/10/83563
……。
>森首相(当時)が、参勤交代でアメリカにクリントン大統領を訪める前に、即席の英語の想定問答を練習していった。
森“How are you?”
ク“Thank you. I'm very fine. And you?”
森“Me too.”
JRF2025/10/80239
という例の文例だ。ところが、森首相がクリントン大統領と会ったら、血が頭にのぼったのか“How are you?”の代わりに、いきなり“Who are you?”とやってしまったので、すっかり想定問答集が狂ってしまった。クリントン大統領はさすが、“I'm a Hillary's husband.”とかわした。森首相は想定問答集にある通り、“Me too.”と返すしかなかったので、陰で大いに笑いを取ったという。
<(p.99)
JRF2025/10/85040
……。
>ジョン・ニューマンという同名の二人の男が、同じ郊外で、近所同士で住んでいた。一人は牧師で、もう一人はビジネスマンであった。
牧師が八月に死亡した。ほぼ同じ頃、もう一人は仕事でカイロに出張した。彼はカイロに着くと、無事の到着を知らせる電報を妻に打った。ところが、電報が、間違って最近死んだ牧師の妻の元に配達されてしまった。電文の内容はこうだった。
「無事に着いた。ここはかなり暑い所だ」
<(p.108-109)
JRF2025/10/86006
……。
>ある日、チャーチルは女王に謁見した。女王は彼を王宮の車でロンドンの市内見物に案内することを決めた。王宮の車は六頭の馬に引かれていた。と、そのうちの一頭が突然オナラをした。二一発の礼砲のように大きな音だった。臭いが馬車の車内に入ってきた。女王はあっけにとられた。「車内が臭くなって申しわけない」と、女王はふかぶかと謝った。
チャーチルはいった。
「一瞬、私は馬のものだと思いましたよ」
<(p.111-112)
JRF2025/10/82413
……。
>トニー・ブレアがまだ少年の頃、母親はトニーが成長し、首相になるように祈っていた。今のところ、母の願いは半分かなえられた。<(p.113)
JRF2025/10/81617
……。
>皮肉屋のド・ゴール大統領。
「政治家は自分のいったことを信じていないので、人がそれを信じるとびっくりする」
<(p.119)
JRF2025/10/85633
……。
>妻「とっても賢い犬を、もらったわよ。毎朝、新聞を持ってくるのよ」
おっと「そりゃそうだけど、そういうことが出来る犬って結構いるゼ」
妻「だって、うちじゃ新聞を購読していないのによ」
<(p.150)
JRF2025/10/86721
……。
>私は人に会えば会うほど、ますます犬が好きになる。<(p.151)
JRF2025/10/86427
……。
>ある男が精神病の医者のところに相談に来た。
「先生、こわい夢ばかり毎日みるんです。ゆんべもね、私の義理の母がね、でっかい人喰いヘビを先頭に私を仕留めにやってくるんです。黄色い血走った恐ろしい目、ウロコ状の乾いた肌、長い歯をむきだしにして……」
精神病の医者は、患者の気分を鎮めようとしていった。
「それなら、ふつうのヘビと変わりありませんよ」
男は怒った。
「俺は、ヘビの話をしてるんじゃねェんだ」
<(p.154)
JRF2025/10/83735
……。
>その新婚カップルは、新妻の下手な料理を除けば、うまくやっていた。彼女は、半分出来あいの料理を買ってきて、自分の料理として出し料理下手を繕おうとしていた。
ところが、ある晩に限って、自分で食事を作ろうとした。主人が家に帰ってきた時に、彼女はいった。
「ごめんなさい、あなた。今晩の夕食がちょっと焦げちゃったのよ」
主人は別の驚いた風でもなく、
「どうしたんだい。総菜屋が火事になったのかい」
<(p.162)
JRF2025/10/80688
……。
>客がパブのカウンターに5ポンド(約1000円)を置いて、千鳥足で立ち去った。ハンラハンがそれを自分のポケットに入れて振り向くと、ボスが彼の方をみていた。
ハンラハンはいった。
「信じられますか? 奴は5ポンドのチップを置いていったけど、酒代は払ってねぇんですからね」
<(p.169-170)
JRF2025/10/88968
……。
>スコットランドのハイランド地方にいる長寿の人は、よくその秘訣をたずねられる。
「すべてに中庸ということだよ。例えばお酒のじょうずな飲み方をお教えしよう。いいかな。まず水なしでウィスキーを飲んではならない。二番目、ウィスキーなしで水を飲んではならない……、という具合にな」
<(p.170)
JRF2025/10/89544
……。
>あるアイルランド人がパブに入ったとたん、
「出ていけ!」という居酒屋の主人の罵声が飛んだ。
「忘れちゃァいねェぞ、お前のことは。この五日間というもの、毎日ここに来ちゃ酔っぱらって調度類はめちゃくちゃにするわ、グラスは割るわ、大事な客は殴るわ、このわしを脅すわ……。ひどいことをやってくれたな……、全く。きょうというきょうは許さねェ」
アイルランド人はびっくりした。
「そいつは俺じゃない。一度だって俺は、ここに来たことァねェんだ。神様が証人だ。俺は誓う。一度もここに来たことはありません、神様……」
JRF2025/10/84519
パブの主人も、しばらく考えた。
「……。いや、わ、わしが人違いしたかもしれん。すまなかった。とにかく一刻も早く忘れてくれ。世の中には似た奴もいるもんだ。さ、一杯ごちそうするよ、私の早合点だった……。何にするかね」
アイルランド人、思わず、
「ありがとう。そんじゃ、いつものヤツくれないか」
<(p.170-171)
JRF2025/10/80356
……。
イギリス人に原語で話すと必ずウケるジョークがあるという…
>ロンドン、ヒースロー空港の搭乗案内のアナウンス。
「英国空港BA273便デリー行きは、18時30分の出発。パン・アメリカン、ロスアンジェルス行きは、19時40分の出発です。エア・リンガス(アイルランドの航空会社名)ダブリン行きは、空港ロビーの大時計のミッキー・マウスの小さな手が八、大きな手が十二をさした時に出発します」
<(p.184-185)
アイルランド人が時計を読めないことを笑ったジョークで、イギリス人に話すと、「……ミッキー・マウスの……」ときたところで、すでに吹き出す始末らしい。
JRF2025/10/88990
……。
>町医者の診察室で。
「先生、うちの家族が私のことを少しおかしいんじゃないかってしきりにいうんですが……」
「ほほォ、それはまたどうして?」
「私はソーセージがとっても好きなんです……」
「それでは別に問題はありませんな、私だって大好物ですから……」
「そうですか、そういって下さるとうれしい。ぜひ家にいらして下さい。ソーセージのコレクションをお見せしますから……」
<(p.207)
JRF2025/10/80526
……。
>テキサスの人が、イギリス人に自分の財産の自慢話をとくとくとしていた。
「おい知ってるかァ、おめェ。俺の土地なんざァ、見えるところが全部そうよ。だからおめェ、俺の土地をドライブするとなった日にゃァ一日はタップリかかるぜ」
イギリス人はめんどくさそうにいった。
「俺も昔は、そういう遅い車に乗ってたもんよ」
<(p.261)
JRF2025/10/83748
……。
>第一次大戦中、ロンドンの官庁街ホワイト・ホールを若い将校が歩いていると、見知らぬ人から呼びとめられた。
「恐縮ですが、国防省はどちら側でしょうか?」
若手将校はちょっと考えて、
「たぶん、私たちの側だと思いますよ」
<(p.266-267)
軍や警察が国民のほうに銃を向ける印象というのはどこの国も共通か。
JRF2025/10/86966
……。
艶笑ジョークも結構あったが、それはこちらには選ばなかった。
JRF2025/10/85542


『日本人には思いつかないイギリス人のユーモア』(北村 元 著, PHP研究所, 2003年5月)
https://www.amazon.co.jp/dp/4569627749
https://7net.omni7.jp/detail/1101971484
ジョーク集は久しぶり。ラビ・マーヴィン・トケイヤーの『ユダヤ・ジョーク集』が私の座右の書。ジョーク集はいろいろ読んでいるが、以前だと、平井吉夫 編『スターリン・ジョーク』を読んでこの「ひとこと」にメモを書き残している([cocolog:92343433](2020年11月))。
JRF2025/10/84463