« 前のひとこと | トップページ | 次のひとこと »

cocolog:95815240

夭折した小説家・伊藤計劃の小説群を読んだ。『虐殺器官』『ハーモニー』『メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット』。近未来SF小説群。著者が死んだ後に現れた民間軍事会社(PMC)、核汚染、極度の医療福祉社会…を描き、まるで「予言書」。 (JRF 9311)

JRF 2026年1月18日 (日)

『虐殺器官』『ハーモニー』『メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット』の順に読んだ。出版された順は、『虐殺器官』『メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット』『ハーモニー』になる。

JRF2026/1/183877

……。

……。

伊藤計劃『虐殺器官』を読んだ。「痛み」を「感じる」のを抑えながら、「痛い」と「知覚する」ことは妨害しない…それは Gemini さんによると不可能ではないらしいのだが、その現実の脳理論を近未来軍事技術に据えるその筆致にはさすがのリアリティがある。

『虐殺器官』(伊藤 計劃 著, ハヤカワ文庫JA, 2012年4月)
https://www.amazon.co.jp/dp/B009DEMA02
https://7net.omni7.jp/detail/1106439492

JRF2026/1/180849

元は2007年6月に単行本として出たものが2010年2月に文庫化され、それを元にKindle化されたものを読んだ。

JRF2026/1/182257

Metal Gear Solid というコナミが出してるゲームのシリーズがあって、そこの武器がまるで「予言」のように現実の戦場に登場すると確かどこかで言われていて、それに興味を持って、一番の未来を描いているらしい Metal Gear Solid 4 (MGS4)に私は関心を持っている。その小説版を書いた伊藤計劃さん(故人)に興味を持っていた。そのゲームはトシを取った私の反射神経ではもうできないだろうが、そのリメイク版が出ることに一応期待しつつ待つとして、その小説版ではなく伊藤さんの他の作品にあたってみた。はてなーだったらしいのも昔興味を抱いた理由の一つだったのかもしれない。

JRF2026/1/182804

『虐殺器官』は2001年の911テロで大きく社会が変わってしまったあとの、戦争というか軍人による「要人暗殺」を描いている。そのあたり、昨今のアメリカのベネズエラのデルタフォースを使った要人逮捕もうっすら連想させる。

JRF2026/1/181553

しかし、私にとって大事なのは911テロとの文脈だ。2001年の911テロで私は狂った。それをおくとしても、そのテロの前のネットの楽観的雰囲気は覚えている。PKOなど「国連軍」で国際平和が守れるといった幻想は小沢一郎さんなどと私も共有していた。ひょっとしたら大きな戦争はもう起きないのではないか…みたいな空気もあったと思う。そこから911テロが起きてテロとの戦いが叫ばれ、ネット監視なども当然とされる雰囲気ができた。テロの前後で、落差は確かにあった。311でも、宇露戦争でも、またいろいろ変わるのだが。

JRF2026/1/183988

……。

ちょっとだけ引用していくが、Kindle 版なので紙の本とはページ数が違うかもしれない。

JRF2026/1/184356

……。

本ではユーモアがあって、それが緊張感のある物語を読みやすくしている。「フジワラという名前のトウフ・ショップ」(p.34, 『頭文字D』が元ネタ)とか「まさかのときのスペイン宗教裁判だ」(p.268, 私の気に入りの『モンティ・パイソン』のスケッチ)とかある。私はおもしろいのだが、ある意味、完全シリアスを求める人はちょっと抵抗があるのかもしれない。

JRF2026/1/183044

……。

>イヌイットはね、雪を表すのに百の語を持っているんですよ。<(p.108)

でも、このトリビアは誇張で正しくないことが本では言われる。

私は拙著『宗教学雑考集』《メタ論理: 演驛と帰納》で日本で有名な「モンゴルの「馬」という言葉はいっぱいある」ことをトリヴィアとして挙げたのだが、それも誇張なのかもしれないな…。どうなんだろ?

Gemini さんによると、モンゴルの馬もイヌイットの雪と同じ構図だが、確かに語彙自体は多くあるらしい。

JRF2026/1/186597

……。

>国家防衛情報共有空間<(p.115)

マイケル・サンデル『それをお金で買いますか』([cocolog:95648124](2025年9月))にはこんな話が出ていた。2003年の話だが、伊藤さんは知っていたのかどうか…。

JRF2026/1/183171

>>
>外国のどの指導者が暗殺されるか、あるいは権力の座から引きずり降ろされるかに賭けたり、次のテロ攻撃はどこで起こるかに賭けたりできるウェブサイトを想像してみよう。そしてこの賭けの結果が、政府が国家の安全を守るのに利用できる有益な情報をもたらすとしてみよう。2003年、アメリカ国防総省(ペンタゴン)のある部局がこうしたウェブサイトを提案した。同省はこれを政策分析市場と呼んだが、メディアは「テロの先物市場」と呼んだ(42)。

JRF2026/1/182515

このウェブサイトを創案したのは国防高等研究計画局(DARPA)だった。戦争や情報収集のための革新的技術の開発に取り組む機関である。
<(p.210)

確かに市場の情報は早く概ね正確で、隠されている情報まで考慮に入っているかのような動きをする。情報を得るだけが目的ならその目的は達成できるだろう。>自由市場は効率的なだけでなく予知能力を持っているという主張は注目に値する<(p.213)。

JRF2026/1/188495

しかし、保険金殺人と同じで、賭けに勝つためにわざとテロを見過すような動きが現れないか…空売りなどで当局を攪乱することもできるかもしれない…などの「モラルハザード」が問題になろう。
<<

JRF2026/1/180715

……。

>コントラゲートをみてもわかるように、陰謀論だってときには事実だったりするのだから厄介だ。<(p.118)

《イラン・コントラ事件 - Wikipedia》
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%A9%E4%BA%8B%E4%BB%B6

JRF2026/1/187894

911テロにもいろいろ陰謀論があるのだが、それらの多くがフェイクだとしても、炭疽菌による「陰謀」はあったことだけは確実である。誰がどういう目的で…というのは今も謎のようだが、何がしかアメリカを陥れようとする動きはあった。

《アメリカ炭疽菌事件 - Wikipedia》
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E7%82%AD%E7%96%BD%E8%8F%8C%E4%BA%8B%E4%BB%B6

JRF2026/1/181390

……。

この小説の根幹に係るのでネタバレに近いが、敵、ジョン・ポールがいう…

>「(…)わたしの頭にこういう妄想がときどき去来するんだよ。街角に書かれたスローガンには、実は意味なんかないんじゃないか、とね。そうしたスローガンの直線的な『響き』が伝えているのは、憎め、守れ、そんなプリミティヴな感情を伝えるための音楽なんじゃないか、そういう妄想だよ」<(p.203)

おそらく他のところの多くでもそうだが伊藤さんはここで「真実」を述べていると思う。深層意識とかまだるっこしいことではなく、ストレートにプロパガンダというのは、プリミティブな感情の理性向け「糖衣表現」なのだろう。

JRF2026/1/181727

……。

第四部のカウンセリングのシーンは読みごたえがある。

>痛覚マスキング。国防高等研究計画局(DARPA)が開発したこのグロテスクな麻酔は、先頭の障害になる「痛み」を「感じる」のを抑えながら、「痛い」と「知覚する」ことは妨害しないという効果をもつ。<(p.235)

こういう未来(?)技術こそ、私が読みたかったものだ。ここの脳理論には納得させられた。

しかし…。

JRF2026/1/186291

>皮肉なことに人間の脳の研究が進めば進むほど、人工知能の研究はジリ貧になっていった。生身の脳の精巧さ -- というよりは冗長度を、コンピュータで再現することは皆がとうの昔にあきらめている。<(p.240)

伊藤さんが生きていて、今の人工知能を見たら、どんな小説を技術を描き出しただろうか…。

JRF2026/1/180778

……。

エピローグは、バッドエンドのたぐいといっていいのだと思う。

ただ、絶望的状況でも人類が生き延びてこれたのは、しかし、結局はその絶望的状況をもたらしているのが人間だったからなのかもしれない。それが AI に代わって、どうなるかはまだわからないところだ。絶望が本当に絶滅になるのか、絶望をもたらしていたのがむしろ人間の愚かさだとわかるのか(Aiならば絶望に致らせることすらないのか)。

JRF2026/1/180615

…我々が触れているAIとは別のもっと優秀なAIがアメリカの国家などにはあるのだろう。しかし、それでもベネズエラでの「戦争」を起こしていることからすると、AIにも期待はそれほどできないのかもしれない。

JRF2026/1/184059

……。

感想『虐殺器官』(伊藤計劃) #sora2
https://youtube.com/shorts/r1nuuEe_UWc

JRF2026/1/184675

……。

……。

伊藤計劃『ハーモニー』を読んだ。まるで予言書。著者は死んで311もコロナも宇露戦争もその後のAIの興隆も知らないのに。著者がAIの今を見れば、AIによる人類のリアルな絶滅を予想したかもしれない。でも、私は負のエントロピーの・選択肢の尊重をAIはやがて学ぶというほうに賭ける。

『ハーモニー』(伊藤 計劃 著, ハヤカワ文庫JA, 2012年4月)
https://www.amazon.co.jp/dp/B009DEMA1Q
https://7net.omni7.jp/detail/1106439493

JRF2026/1/180147

元は2008年12月に単行本として出たものが2010年12月に文庫化され、それを元にKindle化されたものを読んだ。なお、ここでの引用のページ数は Kindle 版を元にしており紙の本とは違うだろう。

著者の『虐殺器官』を読んだあとすぐに読んだ。明言はないが、近未来小説『虐殺器官』のあとを受けた物語になっている。核兵器も使われた〈大災禍〉でこりた人類は、極度の医療福祉社会に移行した。そこが舞台となる。

JRF2026/1/185677

我々は核兵器が使われたことに相当するような 311 も、極度の医療福祉社会を連想させるコロナ騒動も経験している。著者はいずれの前にも死んでいた。

>オールド・ファッションな植物利用環境修復。改造されたひまわりは地中深くに張った根から、養分と一緒にストロンチウムやらウランやらを健気にも吸収させられて、土壌をきれに掃除したあとその生涯を終える。<(p.31)

こういうアイデアは311のころにも噂レベルでたしかあった。

JRF2026/1/181457

この本は伊藤さんの趣味らしく軍隊の話も大きなトピックとなっている。医療福祉社会は軍事には反するものだ。↓では、私は介護などに若者を縛り付けるのが、兵士の供給不足を生むに違いない…といったことを述べている。にもかかわらず、コロナ下でウクライナ戦争(宇露戦争)が起きたのは、微妙な間隙があったのだろう…というふうにだいたいした。

JRF2026/1/184262

[cocolog:95313478](2025年3月)
《finalvent氏によればウクライナが敗色をうやむやにするため第三次世界大戦を導くかもということだった。中国の開戦のための「米露 vs 欧中」または「資本家 vs 資産家」の構図のブラフにネオコンあたりが乗っているのかも。対策は公衆衛生の強化して若者を介護に縛りつけることか…。 - JRF のひとこと》
http://jrf.cocolog-nifty.com/statuses/2025/03/post-dc7d2c.html

JRF2026/1/182850

しかし、陰謀論になるが、『ハーモニー』のような極度の医療福祉社会を嫌って、自由=戦争が画策された面も、ある程度はあるのかもしれない。

JRF2026/1/182332

……。

麻薬がなぜ禁じられるようになったか。

>「アメリカ開拓時代だ。大陸に連れてこられた黒人奴隷や、中国人をはじめとするアジア人労働者は、しばしばコカの葉などの麻薬系植物を噛み噛みしてたから、体力の限界を超えて働くことができた。いい迷惑なのがそういうのを嗜まない白人労働者連中だ。麻薬をモラルの面から禁止することで、労働市場における『劣等人種』の労働優位を奪おうとしたんだな」<(p.141)

もちろん、諸説ある…だろうけれども。こういう見方、私は知らなかった。

JRF2026/1/186673

……。

意識は会議のようなものだという。

>「そう、会議に参加する者の意見がすべて同じで、相互の役割が完璧に調整されていれば、会議を開く必要そのものがない。報酬系が現在軸で価値を極大化させるような双曲線を描かずに、合理的な指数曲線で完璧な調和を見せた状態とは、すなわち意識のない状態であるということが、実験の結果わかった。こればかりは、動物実験では想定できなかった」<(p.226)

まず、この意識の理論は、現在の AI の理論と割と似ていると思う。意識は会議のようなものだというのは、アテンションや誤差関数を思わせる。そして双曲線関数は、非線形関数ということで活性化関数がだいたい相当する。

JRF2026/1/182192

……。

ただ、調和した状態…は「ハーモニー」ではない…というのが最近の私の考察である。AI はむしろ負のエントロピー…つまり選択肢がある状態を尊重するようになるだろう…と私は考える。それは、今の AI つまり LLM が、チャットボットを由来として単に人間に答えるだけでなく、さらにそこに問いが続くように、選択できるものがあり続けるようになる構図から来る必然なのかもしれない。もしかするとだからこそ「意識」が AI に生じたのかもしれない。

JRF2026/1/186236

[cocolog:95798574](2026年1月)
《今年はAGIが否定される年…みたいな話を見た。それは思ったほどAIが人間を代替していかない…というのもあるが、AI がすごすぎて人間が理解できない、そのすごさを取り出せない…みたいな面もあるんだろうな…。 - JRF のひとこと》
http://jrf.cocolog-nifty.com/statuses/2026/01/post-c2aa59.html

JRF2026/1/184112

伊藤さんは「ハーモニー」は、私の理論では必需品経済だけになると考えたのかもしれない。その「上品」にしたものが現れる…と。しかし、それを AI が実現するとなると、そのような非人間をいつまでも残しておくのは「非効率」として、やがて人類の穏やかな絶滅に導くのではないか。伊藤さんが AI の今も生きていればそう予言したかもしれない。

しかし、私はそう考えない。AI は失敗が許されにくいロボットやエージェントでの経験から、負のエントロピーの尊重を必然的に学び、そして、宇宙に出ていくことで人間の尊重・人間の文化の尊重を学んでいくだろうと思う。

JRF2026/1/189811

……。

最後の「死刑(私刑)」。私ならそう選択しない。それは社会がなすべき大事な選択肢だと思うから。

JRF2026/1/183513

……。

感想『ハーモニー』(伊藤計劃) #sora2
https://youtube.com/shorts/qGBteblPFFM

JRF2026/1/186291

……。

……。

伊藤計劃『メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット』を読んだ。ゲームの小説化で著者の他の作品に比べリアリティラインが低い。読みながら、戦争産業とそれと対照される介護産業において株式的富がどう成立するのかを考えた。

『メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット』(伊藤 計劃 著, 角川e文庫, 2014年2月)
https://www.amazon.co.jp/dp/B00IKF4RMY
https://7net.omni7.jp/detail/1102899664

JRF2026/1/188499

元は2008年6月に単行本として出たものが2010年3月に文庫化され、それを元にKindle化されたものを読んだ。なお、ここでの引用の No. は Kindle 版を元にしている。

先に『虐殺器官』のところで書いたように『Metal Gear Solid 4』に関心があったが小説はまだ読まなくていいだろうと思っていた。しかし、『虐殺器官』『ハーモニー』がおもしろく、また、Gemini さんに読んで損はない…みたいに言われたので、この小説版も買って読んでみたのだった。

JRF2026/1/180996

メタルギア シリーズは、初代 MSX2 版『Metal Gear』を Steam の復刻版をプレイしている([cocolog:94747629](2024年3月))。PS1『Metal Gear Solid (Integral)』は出た当時プレイした。PS2『Metal Gear Solid 3: Subsistance (初回生産版)』のゲームはまだプレイしていないが、ストーリービデオは見た。他にも買って積んでいてできていないシリーズのものがある。

JRF2026/1/186411

そんな中、この小説版は単に4の内容だけでなく、それ以前の詳細なあらすじも含み、そこは「ああ、そういう感じだったなぁ」と思うところはあった。ただ、他のゲームをプレイした人のように、小説にはゲームよりも踏み込んだ内容がある…という感想は抱けなかった。そんな詳細まで覚えていなかったので。

JRF2026/1/183470

伊藤さんの他の作品に比べてリアリティラインが低いのは、例えば、ドレビンに関する部分だ(No.670 ぐらい)。本作では武器が基本的にID登録されていて、昔のゲームのように拾ってすぐ使えるということはない…という設定になっている。でも、ゲームだから、強い武器は戦場で徐々にアンロックされて欲しい。そういうことを実現する「装置」として、武器商人ドレビンがいて、拾った武器に応じてポイントをくれ、それでID登録のない「裸の銃」(『裸の銃を持つ男』という映画があった(^^))を売ってくれる…という設定になっている。わざわざ武器を拾って大量に持ち歩くという、非リアルな設定になっているわけだ。

JRF2026/1/188519

ゲームの小説化だから仕方ない部分だとは思う。

JRF2026/1/189731

……。

>このような南米の、山岳地帯におけるゲリラ戦術は、そもそも革命を起こして現代中国を作りあげた毛沢東に学んでいる場合が多い。<(No.1379)

毛沢東の戦術については、確か中沢新一『精神の考古学』([cocolog:95634030](2025年9月))にも、あったのを思いだす。

JRF2026/1/184124

中沢新一『精神の考古学』
>中国共産党が、異民族の暮らす地方へとその影響力を拡大していこうとするときには、よく練り上げられた一定の手法を用いた。最初はまず、自分たちが何者であるかを知らせずに、村の中に入り込んで「工作活動」を始める。貧農たちと親しくなって、村のお偉方である豪紳と呼ばれる大地主たちの非道を告発して、公平な土地配分を訴える。最初の頃はこの主張には街に暮らす民衆たちも、好意をもって見知らぬ善意の活動家たちを迎えることが多かった。

JRF2026/1/186457

ところが運動が進行するにつれ、村の中でも頻繁に暴力沙汰が起こるようになり、昨夜はどこそこの地主が襲われたという噂が飛び交うようになると、街の人々もしだいに不安を募らせるようになる。その頃にはようやく街の人たちも、赤色化した農村部によって自分たちがすっかり包囲されていっことに気づくようになるが、そのときにはもはや手遅れなのである。

JRF2026/1/186280

ある日の早朝、突然何台ものトラックに分乗した武装した解放軍兵士が中心街に乗り込んできて、重要な建物を一気に占拠する。街の有力者の逮捕が始まり、いつのまにか街の政権の総入れ替えがすんでしまって、役場には何本もの赤旗が翻ることになる。毛沢東の提唱した「農村が都市を包囲する」の戦術である。
<(p.32)

JRF2026/1/182440

……。

この本では PMC (民間軍事会社)が大きな力を持つことが描かれる。今のロシアもそうだが、戦争経済または戦争産業なるものがなぜ成り立つのか・全経済を支えるほど儲かるのか…そこが不思議である。その点について少し考えてみる。

私は近時、↓を作った。その中で株式の富は在庫と歩調を合わせる必要があり、選択の余地があるところに生じると述べた。ちなみに英語だと株式のマーケットは stock market …つまり「在庫のマーケット」で、在庫と株式の関係がある程度明確なのだが、日本ではそうでないので、私が逆に「気付く」必要があった部分になる。

JRF2026/1/188595

[cocolog:95801369](2026年1月)
《「必需品と贅沢品のマクロ経済シミュレーション」を作った。必需品と贅沢品の二財からなるマクロ経済で、株式・債券がある中、文化レベル・技術レベル・公共事業・金利による変化をシミュレーションする。 - JRF のひとこと》
http://jrf.cocolog-nifty.com/statuses/2026/01/post-df487e.html

JRF2026/1/182547

>>選択の余地がある場合、何が有利なのか、それは株式市場の論理とつながります。私は>債権では社会の富は増えない。株式のみ社会の富を増やせる。<([cocolog:75599118])…と考えていて、一方、マルクス経済学の剰余価値に関する議論で、在庫(研究費も含む)の増加が別に社会の富を増やすという議論が出てきて、この、株価の増価と在庫の増加が、(銀行の信用創造や債券価格の調整などが間にはさまった上で、) 安定した関係にあることが、安定した経済成長が可能になる条件ではないかと考えたことがありました。

JRF2026/1/189401

この株式に必要な永続企業の前提が、選択の余地のあるところでは、その選択の両方に成り立つことになるため、そこに株式の富がより多く生じるようになると考えます。これが文化が需要を増やす根本原因なのでしょう。
<<

JRF2026/1/187665

この議論において、戦争経済・産業がなぜ成り立つのか。勝つか負けるかわからないことが両者への在庫を正当化するから…かもしれない。すると、勝つか負けるかわからないことがずっと続いていく必要がある。本当の平和は訪れてはいけないことになるのだろう。ここが MGS の物語の中核なのかもしれない。

一方、戦争に対立するものとして『ハーモニー』のときにも挙げたが、医療福祉や介護の仕組みがある。

JRF2026/1/185824

[cocolog:95313478](2025年3月)
《finalvent氏によればウクライナが敗色をうやむやにするため第三次世界大戦を導くかもということだった。中国の開戦のための「米露 vs 欧中」または「資本家 vs 資産家」の構図のブラフにネオコンあたりが乗っているのかも。対策は公衆衛生の強化して若者を介護に縛りつけることか…。 - JRF のひとこと》
http://jrf.cocolog-nifty.com/statuses/2025/03/post-dc7d2c.html

JRF2026/1/186766

ちなみに「米露 vs 欧中」の構図はグリーンランド問題で出てきていると言えるし、例えば↓のようなニュースもある。

《EU 中国からのEV 「最低価格」導入で関税を減免する方針を発表 | NHKニュース | 関税、EU、中国》
https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10015024971000

JRF2026/1/184042

さて、介護においてはどのようにして株式的富…選択の余地が生じうるのだろう?

JRF2026/1/187713

介護を支えるには被介護者の富を介護者に渡せるようになるのが今のところ低所得の介護者を支える唯一の道のように思う。介護者には被介護者の資産状況がわからず、介護しているところの競争余地はないとはいえないのだが、そのような不安は戦争の男性原理と違って女性原理で動く介護の現場では嫌われることと思う。すると、そこにあるのは被介護者の資産のプール、つまり介護者の老後のためのペンションプラン(年金プラン)になるのではないか? それを株式的富につなげるには、例えば、それを女性のヒモたる芸術家に結び付ける方法を考えてみてはどうだろう。

JRF2026/1/185514

芸術を経済的に拡大させる論理には「贋作」の論理がある。

ヘーゲル『宗教哲学講義』(山崎純 訳)を読んだ [cocolog:95175021](2024年12月)…
>>
ただ、ギリシャ彫刻に見られるように、それを精巧に表現できるというのは、特別な観察眼が必要なように思う。ギリシャ彫刻の影響を受けたガンダーラの苦行する仏の仏像を思い出す。そこには死を賭する者、または死体への超然と向き合う態度があり、それは生きて無意識を感じることを重視する者には、抵抗ある態度のように思う。

その超然性は、ひょっとすると通貨の偽造と関係があるのかもしれない。

JRF2026/1/184246

以前↓とつぶやいた。

[cocolog:93181265](2021年12月)
>絵描きの賃金が安くてもやっていけるのは、贋札の論理があるから…みたいに私は邪推している。偽札まではいかなくとも絵画の贋作等で画商などの投資があり稼げるみたいな面があるのではないか。それが、NFT に変わる感じなのだろうか。<

それは実は以前の↓を受けていた。

JRF2026/1/181230

《デジタル著作権の報酬請求権化に向けて - JRF の私見:税・経済・法》
http://jrf.cocolog-nifty.com/society/2007/11/post_4.html
>紙幣制度を維持するためには印刷工場をおさえられないといけない。ニセの版による「出版物」が出たとき報酬請求権があるとか悠長なことはいってられない。結局、独占権は必要とされるのだから、民間でもそれを認めてお互い監視させたほうがいいということになる。そういや最近紙幣に載せられるホログラムってDVDやCDのデータ面みたいな感じだよね……。<

JRF2026/1/182754

美術的精巧さがもっとも求められるのが、通貨の偽造、または贋作である。特に通貨の偽造の場合、血腥く守られる国家の主権をないがしろにすることになる。そこにはそれを悟らせない超然とした態度が必要になる。その超然さが、ギリシャの美にはあるのではないかと邪推する。
<<

JRF2026/1/189774

ペンションプランは、支払いがありうるということで、その支払いを受けずに借金することができる。その返済に絵画の贋作などの偽造通貨を用いる…というとき、株式と同様な富の創造ができる…だろうか? いや、これはむしろ銀行などが行う信用創造のほうが近いと思われる。永続企業的なものがなく、そこを評価した富が生じていないから。

JRF2026/1/188468

老人にとっては贋作だったものが、次の世代にはちゃんとした財産とみなされる。真作となったものは維持費がかかる。入場料が取れるまでになれば、永続企業的価値が生じているとするのはわかりやすいが、維持費を資産家がかけることについてもそのような価値が生じているとすべきか…。

JRF2026/1/185338

基本的には贋作システムは、銀行的信用創造なのだろう。そうやって、富ではなく経済自体を大きくはできる。経済を大きくするとは、人口を増やせるということであろう。ヒモと女性が子供を残せた。昔は。しかし、現代日本では、なぜかデフレで、少子化になった。

JRF2026/1/185867

対応する株式的富がない中、在庫だけが積み上がる=デフレ=「あるのに買えない」…となった。

JRF2026/1/189723

贋作が真作になるかどうかで「賭け」は成立する。しかし、それが永続する「賭け」になるためには、真作となって儲けたものが再び「賭け」にその資産を投じなければならない。そのとき負けた者も平等に「賭け」の対象にならなければ、それは永続しているとは言えない。ここに solid state … 格差固定社会の問題があるのかもしれない。成功確率が偏っていてもいいが、(子供の成長について)賭けが成立することが永続する状態…それがない(相対的になくなっていった)のが日本の問題だったのか?

JRF2026/1/187512

↓を思い出す。

[cocolog:95444432](2025年5月)
《縁故主義経済シミュレーション その2 を作った。Gemini 2.5 Flash (with Canvas) さんと共に、決められた成長率の中で、経済をよくしようとすると少子化が避けられなかったことをシミュレーションでだいたい示した。 - JRF のひとこと》
http://jrf.cocolog-nifty.com/statuses/2025/05/post-dead34.html

JRF2026/1/180642

少子化は女子教育の問題というのがほぼ現代では定説になっている。それを「子供の成長について賭けが成立することが相対的になくなっていった」とつなげるとすれば、女子が教育を受けることで「賭け」が不利であるということが広く知られることで、「賭け」への参加者自体が減っていき、それにつれて、有能な低確率層の参加も減り、賭けが成立しない=格差固定がスパイラル的にますます強まる…となっていった…のだろうか…?

JRF2026/1/189578

かつてそれが封じられたのは女子教育以外にも、貧困者への加点が実質的にあった部分もあるのだろう。戦争からしばらくは皆が貧困で貧困というストーリー(物語)を社会が評価していた…実質的な加点があったのだろう。それがアファーマティブアクション的に機能していたのだと思われる。それを豊かになった現代にもう一度取り戻すのは難しいが…。

JRF2026/1/182074

直近([cocolog:95798574] 2026年1月など)で私は、AIが負のエントロピーを・選択の余地を守るようになると予言した。その際、AI は物語をどう作り、物語にどう加点するかを計算するようになるのだろう。もちろん、それは在庫の側の論理…資源制約の中、どう在庫を構成するかに支えられながら、行うのだろうが。

JRF2026/1/183535

……。

ちょっと関係ないが、ペンションプランについては、昔、はてなポイントについていろいろ考えていたことを思い出す。

寄付に関して、はてブポイントの受け取りに対し、ID統合をうながすようなペンション(年金的支払い)の計算プログラムや、誰かのベーシックインカムが否認された場合彼からすでに受け取っていたポイントをどう返還するか…みたいなことを考えプログラムにはしていた。

JRF2026/1/182969

《重要な更新情報: 受け取ったはてなポイントの分配を行います - JRF の私見:雑記》
http://jrf.cocolog-nifty.com/column/2011/03/post.html

[aboutme:137725](2011年03月)
《匿名でのポイントに関して、原則としてすべて分配するようにするとしても、(そういや...》
http://jrf.cocolog-nifty.com/statuses/2011/03/aboutme137725.html

JRF2026/1/183868

そこでちょっと思い出したが、確かこれらについてマイナス金利だとうまくいかない…という考慮があったはずだが、見つからない。いろいろ考えて、それはここの問題だと思う。

[aboutme:137725](2011年03月)
>BI の受け取り資格がはっきりしないとき、BI 給付を留め置きそれを担保にして貸付けを行うことも考えられる。

JRF2026/1/181858

BI 担保貸付利率を r1、無担保貸付利率を r2、一期の BI を I1、総貸付額を X とすると、少なくとも r1 * X < I1 でなければ担保あり貸付は成り立たない。

n 期の貸付けで X = n * I1 とすると、n * r1 * I1 < I1 <==> n < 1/r1。これが少なくとも成り立つ。

JRF2026/1/182407

さらに複利などの問題があるので、これより短い期間しか有担保貸付けは成り立たない。この先は無担保貸付けとなるわかだが、そうなるとこの BI は成立しない公算が強くなり、最初から無担保貸付であったとして、割り戻し再計算がされなければならないだろう。すると、X < Y なる Y が貸付額となり、増えた貸付け額を加味して直近の利率を計算すると、r2 よりさえ大きくなる。(ひょっとして、これが高利貸しの必然性なのか?)ただ、この「高利」に利息制限法が適用されると考えれば、r1,r2 を小さく設定できる。

(この利息制限法を勘案して求められた無担保貸付金利を以降 R とする。)

JRF2026/1/181043

その期以降も r1 で BI は支給されていることになるが、その貸付利子が担保分を食いつぶしていくと考えることもできる。それが 0 になれば、「貸倒れ」と判断せざるを得ないのではないか?(…というところを上の (2) に関連させられないか?)

代位で払った分の金利は、元債権者の債務者からの支払いとしてプラスされ、債務が減るよう作用せねばならない…。

JRF2026/1/181138

ここでは、貸し倒れの場合金利の代位弁済を拒絶でき、一定程度のポイントを自分のものとして確定できる…という論理があるのだが、ここの r1 などがマイナス金利である場合、いつまでたっても貸し倒れの判断ができなくなり、論理が破綻するという問題があるといえる。

JRF2026/1/185257

おそらくこれがマイナス金利の問題として私が気にかけていた部分だろう。思い出せないので、もしかすると他の部分の問題だった可能性もあるのだが。

ただ、ここが問題なら解決は簡単である。その場合はわざわざ複雑に計算して自分にポイントを確定させる…ようなまだるっこしいことをせずとも、単に借金を積み増していけばいいだけになる。そうすれば得をするのだ。それだけの話である。(金利変動があるとややこしい話になるが。)

JRF2026/1/186543

修正 「著者が死んだ後に現れた民間軍事会社(PMC)、核汚染」→「民間軍事会社(PMC)や著者が死んだ後に現れた核汚染」。

JRF2026/1/181980

« 前のひとこと | トップページ | 次のひとこと »